過去のコラム『ジュエリーを新品同様にきれいにできるのか?原因や道具のご紹介』でジュエリーをクリーニングするときに使う道具をご紹介しましたが、今回はその道具と使用方法を少し詳しく紹介していきます。
ただ、ジュエリーをクリーニングする道具は、ジュエリーショップやジュエリーの加工屋さんによっても使う道具は異なります。
そのため、今回は当工房で使用している道具と使用方法になります。
目次
クリーニングが最も多いジュエリーは?
ジュエリーと一言で言ってもたくさんあります。
指輪、ネックレス、ピアスなどがありますが、最も多いクリーニングは指輪になります。
仕事をしているときも、家事をしているときも、遊んでいるときも、指輪を着けていますよね。
その状態で仕事や家事、遊んだりしていると手や指を使うのでどうしてもキズが付いたりへこんだりしてしまいます。
そのため、クリーニング依頼で最も多いジュエリーは指輪になります。
クリーニングするための道具
ジュエリーをクリーニングするのに使う道具ですが、今回は『リューター』と『リューターポイント』という道具をご紹介します。
①リューター
リューターというのはペンのように持って使う電動工具で、リューターポイントという先端工具を付けて使います。
速度調整ができて、左回りか右回りか選べます。足で踏むスイッチ(フットペダル)あればそれを踏むことで動きます。
②リューターポイント
リューターポイントは先述したようにリューターの先端に付ける道具で、ジュエリー自体に当てて使います。
クリーニングをするために使うポイントもあれば、彫金といって装飾を施すのに使うポイントや宝石を留めるため穴を空けるポイントもあります。
そしてそれぞれのポイントには、たくさんの種類があります。
クリーニング用のポイントはわかりやすく言うと、ヤスリのことで、紙で出来た紙ヤスリ、シリコンやセラミックでできているヤスリ、豆バフといって布でできたポイントもあります。
ヤスリには#80(80番)#1000(1000番)の番号があり番手と言います。これはポイントの粗さを示す番号で、小さい数字から粗く、大きい数字になると細かくなっていきます。
豆バフはそれだけでは使用せず、研磨剤を塗布して使用します。
この豆バフにも粗く削るための硬いモノや、ピカピカにするための柔らかいモノなどがあります。
これらの中から自分に合ったもの好きなものを買い揃え、ジュエリーの状態にあったポイントを選んで使用します。
クリーニングの使用方法と手順
指輪のクリーニングが最も多いので、その使用方法と手順を紹介していきます。
指輪は指にはめる輪っかになっているところを『ウデ』とか『アシ』と言いますが、ここでは『アシ』として説明します。
指輪のアシは表面、側面、内面と分かれます。
表面は指輪をはめたときに上から見える全周のことで、側面ははめた状態で横から見える部分、内面は刻印があるところで指にはめているときは見えない部分です。
クリーニングは、最初に状態を確認します。
どんなデザインをしているのか?どこに、どの程度のキズやへこみがあるのか?宝石が付いている場合、その宝石が落ちたりしそうにないか?などを確認します。
確認後、内側→側面→表面の順番にやっていきます。
指輪の状態が良くなければ番手が小さい粗いリューターポイントでキズやへこみなどを取り、番手を徐々に大きくしていってきれいな状態にしていき、最後にはピカピカにします。
宝石が爪で留まっていて、その爪がいい状態でなければ、爪もきれいにします。
クリーニングをするときに気を付けること
クリーニングと言っても結局は指輪をヤスリで削るわけですから、破壊行為に近いと言えば近いので壊さないようにすることです。
その壊さないの中にもいろいろあり、刻印を消さないように気を付ける。
デザインを損なわにように気を付ける。
宝石が付いていたら外れないように気を付ける。
宝石をキズつけないように気を付けるなどです。
どうしても困難な場合もあります。
例えば刻印の近くが凹んでいる場合やキズが深かったりした場合は、お客様と相談し確認を取ってから作業を行うこともあります。
最後に
クリーニングと言っても様々な道具を揃える必要があり、その道具を使ってみたものの人によっては使い勝手がいい悪いがありますので、道具の取り揃えだけでも大変な作業になります。
また、道具の使用は全て手作業になり技術が必要で、更には宝石のついたジュエリーなら注意を払いながら作業を行いますので、経験や知識も必要になってきます。
しかし、現在ではリューターとリューターポイントは100均などで手に入りやすくなっているので、シンプルなデザインの指輪なら自分でクリーニングすることもできます。
興味があればやってみるのもいいかもしれませんね。