お洒落の必須アイテムとして欠かすことのできないアクセサリー。
女性であれば指輪、ネックレス、ブレスレット、ピアス、イヤリングなどお持ちの方も多いかと思われます。
それらが貴金属であれば、金なら「K24」「K18」「K14」、プラチナなら「Pt900」「Pt850」、シルバーなら「SV1000」「SV925」などの刻印が打刻されていることが一般的です。
しかし、中には刻印の無いアクセサリーメッキが存在し、今では多くのショップでも販売されており、種類も豊富で安価なため手軽に購入ができ楽しめます。
ただ、「メッキ」という言葉を知っていても具体的にどのようなものか把握している方は少ないかもしれません。
そこで今回は「メッキ」について紹介していきます。
目次
メッキとは
メッキとは、金属や非貴金属であるガラスやプラスチック、繊維などの表面に金属の膜を覆う技術のことを言います。
ではなぜ素材にメッキ処理を行うのでしょう?
まず装飾性を高め美しさを演出してくれます。
例えば金ではない素材であっても、金の膜を覆うだけで見た目の価値を高めることができます。
さらに、金属の耐食性を高め機械部品に使われるネジやボルトなどの錆びや腐蝕を防ぐ効果もあります。
また、メッキすることによって通常持たない性質を付与することができ、パソコンなどの電子機器にもメッキ処理が行われています。
このように用途に合わせ果たす役割もさまざまです。
それでは次にアクセサリーメッキの加工方法についてお伝えしていきます。
アクセサリーメッキの加工方法は?
アクセサリーメッキの素材には鉄や真鍮などが使われています。
もちろん、あえてメッキ加工が施されていないアクセサリーも存在しますが、見た目の観点からほとんどのアクセサリーにはメッキ加工が行われます。
では、どのような方法で加工が行われているのでしょう?
加工にはいくつか種類がありますが、多くの場合は電気分解を利用した加工です。
電気分解とはメッキ液の中のプラス極(+極)にアクセサリーの表面を覆う金属を、マイナス極(-極)にメッキされる素材を入れ電気を流し、プラス極の金属がイオンとなり液に溶け出しマイナス極の素材に付着させる技術のことです。
ただし、この電気分解で美しく仕上げるにはいくつかの層を作る必要があるため、最初に銅メッキ、続けてニッケルメッキ、そして最後に表面を覆う金属メッキをかけ光沢のあるメッキに仕上げていきます。
要は、三層構造になっています。
ちなみに、メッキはミクロン単位(1000分の1ミリ)の薄い層で作り上げられています。
「メッキ」と「めっき」どちらの表記が正しい?
「めっき」という言葉を書いてくださいと言われたら「めっき」「メッキ」どちらを書きますか?
多くの方はカタカナで「メッキ」と書くでしょう。
しかし、「めっき」という言葉は外来語ではなく日本語になるめ、「めっき」が正しいとされています。
もともとは漢字で「鍍金」と書いていましたが、「鍍」は国で定めている常用漢字表にはなく、「金」もその表で「き」という読みを認めていないことから、平仮名の「めっき」が使われるようになったようです。
ただ、ショップに並べられている商品札や新聞記事、カタログなど見てもほとんどがカタカナで「メッキ」と書かれていることが多いです。
これは平仮名の「めっき」が文章内でかき消され読みにくくなってしまうことや、専門分野ですでにカタカナの「メッキ」が使われていたことが影響しているようです。
あくまでも「めっき」が正しいとされていますが、さまざまな分野の用語集では平仮名、カタカナ両方使われていることもあれば、広辞苑や辞書でもカタカナ表記について言及しています。
また、「めっき」「鍍金」の利用頻度は「メッキ」の10分の1以下とも言われているようなので、用途に合わせて使い分けるのが正しいかもしれませんね。
アクセサリーに限らずさまざまな分野でも
「メッキ」という言葉を聞くと多くの方はアクセサリーを想像します。
しかし、今ではさまざまな分野でメッキ処理されたものが身近に存在しています。
建築資材
金属材料である鉄などで作られたネジや釘、ボルトなどは大気中の酸素や水分、ホコリの付着によって腐食していきボロボロになります。
そのような腐食を防ぐためにメッキをして、その金属材料の寿命を延ばす働きをします。
電子部品
パソコンや携帯電話、ゲーム機の内部にもメッキ部品が使われています。
基板であるセラミックは石なので電気を通すことはできません。
そのため、メッキをして電気を流せるようにしています。
自動車・バイク
自動車のエンブレムやバンパー、ドアノブにメッキが利用されています。
腐食防止はもちろんのこと、見た目の美しさや触り心地の良さが向上します。
バイクはタイヤ箇所に備え付けられている円盤状のディスクブレーキが腐食してしまうと、ブレーキの効きが低下し本来の役割を果たすことができなくなります。
そうなってしまうと最悪の場合は事故の原因になりかねませんので、ディスクブレーキにはメッキ加工が施されています。
東大寺の大仏にもメッキが施されている
ご存知の方もいらっしゃるかと思われますが、奈良の大仏にも金メッキが施されています。
高さ15メートルにも及ぶ大仏は銅で鋳造され、水銀に金粉を混ぜた「金アマルガム」という合金(水銀5:金1)を大仏に塗り、火で加熱し水銀を飛ばして表面に金だけを残しています。
この大仏の完成には技術者や作業員を含め延べ250万人もの人が携わり、金は今の東北地方である陸奥国(むつのくに)で発見されたものを使用したようです。
アクセサリーメッキのメリット、デメリット
何事においてもメリットとデメリットの両面がありますが、それはアクセサリーメッキも同様です。
ここではアクセサリーメッキのメリット、デメリットについて紹介していきます。
メリットは?
ここ数年で金相場が上昇し今では1g6,500円前後を推移しています。
それに対しアクセサリーメッキで使われている金属は、素材や重さにもよりますが数十円~数百円程度なので、お手頃な価格でメッキ加工が施された装飾性の高いアクセサリーを購入することができます。
そのため、今使っているアクセサリーが飽きてしまった、流行りのデザインが欲しくなった、そんな場合でも、お財布に優しいので買い替えができ楽しめます。
また、表面に金やシルバーなどがメッキされているので、金属アレルギーを抑えることもできれば、素材が貴金属(金、プラチナ、シルバー)よりも軽いため、重量感のあるアクセサリーを着けていても疲れが軽減されます。
デメリットは?
もともとの素材の表面に金属の膜を覆っている状態なので、たとえ丁寧に扱っていたとしても、金属同士が擦れ合ったり、どこかに当たったり、肌から出る汗でメッキが剥がれてきます。
そうなってしまうと剥がれてきた箇所が変色したり、サビが出たりして知らぬ間に肌荒れのトラブルが起きてしまうことがあります。
さらに、貴金属(金、プラチナ、シルバー)とは異なり、加重に弱いため強い力を加えると切れたり壊れたりすることもあれば、見た目がたとえ金色であっても見る人が見れば本物との色味の違いに気付かれる場合があります。
アクセサリーメッキのお手入れ
アクセサリーメッキを使用する場合は、出来る限りぶつけたりせず丁寧に扱いましょう。
水分に弱いため、食器洗いはもちろんのこと、手洗いするときは外して、なるべく水分に触れないように気を付けてください。
もし、水分に触れた場合は乾いた布でやさしく拭き取ります。
研磨剤を含む布で拭き取ると、表面を覆う金属メッキが剥がれるので使用しないよう注意が必要です。
湿気にも弱いので、箱や袋に入れて保管すると良いです。
最後に
アクセサリーメッキは、貴金属で作られたジュエリーのように長期間の愛用に向いていないかもしれませんが、低価格で購入することができ、そのときの流行りに合わせてたくさん持つことができ楽しめます。
また、メッキはアクセサリーに限らずさまざまな分野で活躍していることも分かりました。
今回ご紹介した建築資材、電子部品、自動車などは私たち人間が生活していく上でとても重要な役割果たしてます。
これもメッキ技術があるからこその話であり、メッキ技術がなければ私たちの生活は大きく変わっていたかもしれませんね。