銀という言葉を聞くと、シルバーのアクセサリーをイメージされる方が多いでしょう。
他には、シルバーのスプーンやフォーク、ナイフ、オリンピックで2位の受賞者が獲得する銀メダルもあり身近に感じる貴金属のひとつです。
ただ、これは私たちの生活上目にするものだけであり、実はもっと多様な用途で活躍しています。
そんな銀の供給から用途についてご紹介していきます。
目次
銀の産出国
主な銀の産出国は、メキシコ・中国・ペルー・チリ・ボリビア・アメリカ・カナダ・オーストラリア・ロシアとなっており、その中でもメキシコが銀の産出大国となっています。
北米や中南米のメキシコ・ペルー・ボリビアの3か国は古くから銀の産出地として有名です。
現在、銀は年間25,000トンほどのペースで産出されています。
これは、金の8倍(3,000トン/年)になります。
また、地球に埋蔵されている銀は400,000トンほどと言われており、金の埋蔵量60,000トンの約7倍になり、そのうちの約1/4はペルーに眠っているとされています。
様々な用途で活躍する銀
銀は宝飾品や銀器、メダルで多く使われています。
しかし、様々な用途で利用される銀の割合でいえば50%にも満たないのです。
では、それ以外で使われている主な銀の用途はどういうものなのでしょうか。
①工業用としての銀
銀はとてもユニークな性質を兼ねそろえており、様々な工業用途として活躍しています。
その中でも、電気・電子機器に使われている半導体が大半を占めています。
その他にも、カメラのフィルム、接合用、太陽電池などにも使われています。
カメラのフィルムはスマートフォンの普及により年々減少傾向にありますが、太陽電池は世界的にも増加していくと予想されています。
2018年は全体の現物需要32,000トンに対し、工業需要は18,000トンで約55%ほどの割合を占めています。
②宝飾品としての銀
宝飾品としての銀は優しい輝きを放ち、特に若い方たちを中心に人気があります。
主に宝飾品で使われる貴金属は「金」「プラチナ」「銀」で、その中でも「銀」がもっとも安価な材料として仕入れることができるため、店頭に並ぶ商品の中でも比較的購入しやすい価格帯になっているからでしょう。
2018年の宝飾需要は6,600トンで全体の現物需要32,000トンの約20%ほどの割合で、前年度・前々年度とほぼ横ばいの数字になっています。
③銀器としての銀
海外では銀の食器材が非常に人気があります。
2018年の銀器需要は、1,900トンで全体の現物需要32,000トンの約6%を占めており、そのうちの約7割を中国・タイ・インド・イタリアが占めています。
また、10年ほど前の1,600トンの銀器需要から見ても増加傾向にあります。
④投資用としての銀
貴金属の投資でもっとも人気があるのは「金」になります。
しかし、2011年以降、太陽電池の需要量が増加傾向にありますので、金投資には及びませんが、一定数の人気を誇っています。
歴史ある銀器
今ではレストランに行くとテーブルにセットされているカトラリー。
当たり前の光景かと思われます。
しかし、中世時代(5世紀~15世紀)では、ナイフやスプーンはあったもののフォークは存在しておらず、当時は手づかみで食事をしていました。
フォークの誕生はルネサンス期(14世紀~16世紀)のイタリアになります。
それを機に、カトラリーを使う習慣ができ、のちにヨーロッパ全体へ広まっていきます。
17世紀になると富裕層から人気のあった銀製品はカタチを変えていき、洗練された銀職人によって、他のテーブルウェアとともに銀器が誕生します。
18世紀にかけて更に銀職人の技術が向上し、美しい装飾を施したカトラリーが作られていきます。
18世紀後半からは産業革命による技術の発展とともに、銀製品の生産量も増え、この時代より中級階級の人々にも手が届く銀器として変化していきました。
絶大な殺菌効果?銀イオンは私たちの生活にかかせない
銀イオンは抗菌性・安全性に優れた抗菌効果があります。
これは1900年以降に銀の細菌力に関する研究が行われ、銀イオンがウイルスや細菌に対して殺菌効果を持つと発見されております。
今ではご存じの方も多いかと思われますが、汗のニオイを防いでくれる制汗スプレーは、ニオイの菌を殺菌してくれます。
また、エアコンのクリーニングでも効果を発揮してくれます。
他の抗菌剤でしたら、エアコン内部で発生した菌が部屋の内部に入ってきますが、銀はエアコン内部のフィン手前で菌を死滅させ、部屋の内部への侵入を防いでくれます。
その他には、普段の生活でも使用しているマスクになります。
銀イオンがプラスされているモノでしたら、抗菌・花粉・pm2.5などにも効果的です。
現在、銀イオンの抗菌が確認されているウイルスは、インフルエンザウイルス・O-157・ビブリオ菌・肺炎かん菌・黄色ブドウ球菌・大腸菌など多くの抗菌効果があります。
最後に
現物需要の半分以上が工業用需要として使われており、一般的に知られている銀の宝飾品は全体の20%ほどしか使われていないことを知らなかった人も多かったのではないでしょうか?
また、銀が抗菌効果があることも知っている人いれば知らない人もいたかと思います。
これは、1200年以上も前から認められていたと言われており、銀製のカップで飲み物を飲めば病気の予防になるとされていたことから、それが時代の変化とともに飲み物から食べ物となり、食事で使われる銀のカトラリーへとカタチを変えていったのでしょう。