この世界には4,000種類ほどの宝石が存在しています。
その中でも一般的に知られている宝石は数えるくらいで、誰もが知っている宝石は、ダイヤモンド・エメラルド・ルビー・サファイアの四大宝石になると思われます。
そして、それに次ぐ宝石はご自身の誕生石になるでしょう。
ただ、10月の誕生石であるオパールは10月生まれの方でしたらもちろんのこと、誕生石ではないもののご存じの方が多いようです。
それは、オパールが他の宝石では見ることが出来ない幻想的な輝きによって、見る人や見る角度によって多彩な色に変化させる不思議で特殊な宝石だからです。
そこで今回はオパールの歴史や分類されるオパールについて紹介していきます。
目次
オパールの歴史
オパールの名は、古代ローマ(紀元前753年~西暦476年)で希望を象徴する宝石として崇められ、気高い石を意味するサンスクリット語‟upala”から転じられたローマ語の‟ opalus”が語源とされています。
紀元前1世紀博物学者プリニウスは「ルビーの火、アメジストの鮮やかな紫、エメラルドのグリーンに広がる海の緑が調和し合う輝く石」などと観察しています。
それから17世紀ころまではヨーロッパでは珍重され続けていました。
19世紀に入りヨーロッパでは当時人気のあった小説がきっかけで「不幸をもたらす石」となってしまいます。
1829年に発表された小説の主人公で不思議なオパールを着けた女性がいました。
その女性が着けていたオパールに突然聖水が降りかかったとき、その女性に死がもたされたという内容だったのです。
それから1年も経たないうちにオパールの人気がなくなったそうです。
しかし、イギリスのビクトリア女王は人気がなくなったオパールをこよなく愛し続けたとされ、オパール人気の復活に手を差し伸べたとされています。
オパールの原産地
オパールの原産地はオーストラリア・メキシコ・ブラジル・ペルー・インドネシア・エチオピアなどで採掘されます。
その中でもオーストラリアとメキシコが主な産地で高品質なものが採掘され、オーストラリアは世界の産出量の9割以上を占めています。
日本でも福島県の一部でオパールが採掘できますが、宝石としての価値があまり高いものではなく評価も低く、オーストラリア産やメキシコ産のオパールが人気となっています。
分類されるオパールの呼び名
・プレシャス・オパール
特質な内部構造から生まれる遊色効果(多色の色彩で虹のような現象)があり、ゆらゆらと輝き、他に類をみない魅力で価値の高い宝石で「プレシャス・オパール」と総称されています。
そのプレシャス・オパールは更に分類され、ボディカラーが白色のホワイトオパール、黒色はブラックオパール、赤色からオレンジ色はファイヤーオパール、無色透明のものはウォーターオパールなど、それぞれ分類されています。
また、ファイヤーオパールとウォーターオパールはメキシコで採れることが主なので、宝石業界では総称してメキシコ・オパールと呼ばれていますが、正式な名称ではありません。
・コモン・オパール
コモン・オパールはプレシャス・オパールとは逆で遊色効果がなく、宝石の地色しか見えない価値の低いオパールの総称になります。
しかし、乳白色のものはミルキーオパールと呼ばれ人気もあり、そのミルキーオパールの地に青色や赤色が含まれたものも人気があります。
オパールの種類
・ホワイトオパール
一般的に出回っているポピュラーなオパールになります。
石自体は白く多くの方が目にしたことがあるオパールのはずです。
主にオーストラリアの南部で産出され、他のオパールよりも大きな状態で採掘されます。
・ファイヤーオパール
ファイヤーオパールは遊色効果が炎に見えることからファイヤーオパールと呼ばれています。
ですので、地の色が炎と同じ色をしているからではありません。
透明で、地の色は炎のオレンジ色だけではなく、赤系のオレンジや赤色、黄色などがあります。
主にメキシコで採掘され、オーストラリアでも一部採掘されますが、非常に産出量は少ないです。
・ウォーターオパール
ボディーカラーが透明に近く、水の中を揺らぐような遊色効果が虹色に輝き、シャボン玉が浮かんでいるようにも見えるオパールになります。
他のオパールに比べると水分量が多いこともあり、ファイヤーオパールのように力強さは感じられませんが、非常にデリケートで優しい気持ちにさせてくれます。
ただ、他の天然石よりひび割れする特徴があります。
・ブラックオパール
それぞれの国で採掘されるオパールの中でブラックオパールは唯一オーストラリアのライトニングリッジでしか採ることができません。
そのため、ライトニングリッジで採掘されたオパールは‟ブラックオパール”として類別されます。
地色はその名の通り、黒色や暗色の灰色をしています。
色彩の輝きは、他のオパールの白色・透明・オレンジなどどは異なり、暗色・黒色の地色から放たれる色彩は視覚効果を引き立たせることができます。
現在の市場においては、プレシャスオパールの中でも良質なものになると非常に高値で取引されています。
・ボルダーオパール
ボルダーとは、‟巨大な石・岩・塊”という意味があり、鉄鉱石の塊の間などにつくられることからボルダーオパールと呼ばれています。
他のオパールとは異なり、形を整えることが難しく、歪な外観で表面には凸凹が見受けられることが多いです。
オーストラリア北東部で採掘され、別名‟母岩オパール”と呼ばれることもあります。
最後に
紀元前から愛され続けていたオパールも一つの小説がきっかけで人気をなくすことになったとは驚きですね。
それでも、その時代時代で一つの宝石をこよなく愛し続ける歴史上の人物が存在するのも、オパールに限らず、宝石という存在が何かしらの力で人々を魅了しているのでしょう。
また、オパールの中でも唯一ブラックオパールはオーストラリアのライトニングリッジでしか採ることができないので、この先ライトニングリッジの供給量が減少したら更に希少性が増すこともありますので、今のうちに手に入れてみてもいいかもしれませんね。