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コラム

5月の誕生石!青みがかった緑色のエメラルド


古代から愛されづけてきたエメラルド

 

世界四大宝石の一つでクレオパトラに愛された宝石として有名なエメラルド。 

古代宝飾品に用いられていたエメラルドのほとんどはエジプトの鉱山で紀元前2000年頃には発掘されていました。 

古代エジプトではファラオやインカ帝国の皇帝など多くの権力者から愛され、その中でもクレオパトラは愛着が強かった1人で自らの鉱山を持っていたとされ、その鉱山は「クレオパトラ鉱山」とも呼ばれていました。 

 

そんなエメラルドに愛着の強かったクレオパトラ、皆さんはどのようなイメージをお持ちでしょうか? 

絶世の美女をイメージする方も多いかと思います。 

諸説ではありますが、実はクレオパトラは絶世の美女ではなかったようです。 

ただ、当時多くの男性を惹きつける魅了を持っていたことも事実です。 

それは、エジプトを背負い女王でありながら、男性に尽くす「女性」としての一面もあり、最大の魅力は「エメラルドグリーン」の美しい瞳の持ち主でもあったとされています。 

もしかすると、クレオパトラは自分の瞳と色が似ていることから、エメラルドをこよなく愛したのではないでしょうか。 

 

 

エメラルドの原産地

 

エメラルドの産出量の多くはコロンビアになりますが、その他にはブラジル、ザンビア、ジンバブエ、パキスタン、インド、アフガニスタン、ロシアなど様々な国でも産出できます。 

その中でもコロンビアから産出されたエメラルドは色合いが綺麗で、最も素晴らしい品質のものが産出されます。だからと言って全てが高品質でもなく、他の国で産出されたものが大きく劣るわけではありません。 

実際に、ブラジル、ザンビア、ジンバブエ、パキスタンは国際的にも良質なエメラルドとして認められており、ザンビアの鉱山では、濃い色のエメラルドが採れることで有名です。 

 

 

エメラルドの鉱物

 

エメラルドの鉱物は「ベリル」で、アクアマリンモルガナイトと同じ鉱物になります。 

同じ鉱物なのに、なぜ宝石の名称が違うの?と疑問に思う方もいらっしゃるかと思います。 

それは単純に色の違いだけです。 

では、なぜ色が違うかというと、元々ベリルは純粋な無色で・・・ 

ベリルにクロムやバナジウムという元素が混ざり発色した緑色の宝石がエメラルドとなり、ベリルに鉄分が混ざり透き通った水色の宝石がアクアマリンになり、ベリルにマンガンが混ざりピンク色の宝石がモルガナイトになります。 

 

 

エメラルドの特徴

 

エメラルドの大きな特徴で言えば、宝石の中でも傷が多い宝石になります。 

これは、産出される地質(岩石や地層)環境の違いが異なるもので、一般的にベリルは比較的傷も少なく透明度の高い大きな結晶が取れますが、エメラルドは過酷な条件のもとで成長するため、結晶のサイズも小さく多数の傷ができてしまうのです。 

そのため「傷のないエメラルドを発掘するのは至難の業」とも言われています。 

また、エメラルドの硬度は1~10段階で「8.5」で比較的高い数値ですが、靭性は「5.5」で衝撃には弱く比較的割れやすい宝石でもあります。

 

エメラルドの価値基準 

 

宝石は色の鮮やかさであったり、傷気、大きさ、カット、希少性(発掘できる量)によって価値が上下します。 

エメラルドの場合、色鮮やかな濃い緑色で1.5カラット以上の大きさとなると希少性が増します。 

それに付け加えカットでも大きく価値が変わると言われており、それは衝撃に弱い弱点を持っていることから、加工職人がエメラルドが欠けにくいとされるカボションカット(丸みの帯びたカット方法)を施すことも多いのです。ただ、その中でもエメラルドカット(角を落とした長方形)を施されたものは、エメラルドの緑色を最大限に引き出せると言われており、カボションカットより価値が上がります。 

また、前述で「傷のないエメラルドを発掘するのは至難の業」と言いましたが、傷気が少ないものは非常に価値が上がり、もし傷気がないエメラルドが発見されたとしたら、それは更に価値を高めることになるでしょう。

 

 

エメラルドの取り扱い

 

エメラルドは衝撃に弱く割れやすいので取り扱いに注意が必要です。 

モノによってはオイル処理(オイルを入れることによって傷気を目立たなくする処理方法)などを施してあるものが多いので、乾燥や蒸発しないようにエアコンや日光には気を付けましょう。 

洗浄する際、よく街中にあるジュエリー屋さんや眼鏡屋さんに設置している「超音波洗浄機」は使用せず、熱にも弱いのでぬるま湯の石鹸水などを使い優しく磨き最後に水で洗い流して乾いた布などで拭きとってください。 

 

 

最後に

 

この世界には様々な宝石が存在していますが、その中でもエメラルドは誰しも聞いたことのある宝石の一種ではないでしょうか。

そんなエメラルドは古代エジプトの権力者を魅了し愛され、今もなお世界中で愛され人気のある宝石になります。 

性質は繊細な部分はありますが、「エメラルドグリーン」という言葉があるように、その美しい鮮やかな緑色はこの地球上ではエメラルド以外存在していないことを意味しているのではないでしょうか。