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コラム

1月の誕生石!豊富な色のバリエーションを持つガーネットの歴史や特徴


様々な形をしたガーネット

 

1月の誕生石として有名な赤色の宝石「ガーネット」。 

しかし、「ガーネット」という宝石の名前を聞いても、それが1月の誕生石であることやどのような色をしている宝石であるか知らない人も意外に多いのではないでしょうか? 

 

一般的に知られている色は濃い赤色が有名ですが、実際には色のバリエーションも豊富に存在しており、中には希少性の高いモノも存在し、価格で100倍ほどの差が生まれることもあります。 

また、数ある宝石の中で最も長い歴史を持ち合わせています。

 

 

ガーネットの歴史

夜景の上にのしかかるガーネット

 

世界には様々な宝石が何千とありますが、その中でも歴史が最も古く、言い方を変えれば人類が初めて使った赤色の宝石になります。 

今から5000年以上前のエジプト初期王朝時代(紀元前3100~紀元前2686年)のファラオが赤色のガーネットのネックレスを使っていました。 

 

ヘレニズム時代(紀元前323年~紀元前30年)に入り、東方遠征したアレキサンダー大王も、インド産のガーネットを持ち帰ったとされています。 

 

ローマ時代(紀元前753年~西暦476年)になり人気は陰りをみせます。 

しかし中世期にパイロープと呼ばれる血のように真っ赤なガーネットが発見されてから、再び人気が出ました。 

 

中世ヨーロッパでは「勝利の石」と呼ばれ、十字軍に派遣された兵士たちは赤色のガーネットはケガから身を守り、生きて帰ってこれると信じられ、戦場に赴く際に携帯していたそうです。 

また、権力の座につくとされ、王家や貴族などからも好まれていました。

 

 

ガーネットの原産地

ガーネットの原産地

 

原産地としては、ミャンマー、アフガニスタン、パキスタン、インド、スリランカ、ケニア、タンザニア、マダガスカル、ナミビアなど、さまざまな地域や国で産出されており、アフリカ大陸で多く採掘しています。 

また地域によって産出される色が異なり、ケニア、タンザニア、マダガスカルでは明るい緑色、ナミビアとタンザニアはオレンジ色から黄色ガーネットが採掘されます。 

一般的に赤色のモノはインドで最も多く採掘され、その他の地域でも採掘できます。 

また日本の茨城県、愛媛県、福島県でも採掘されています。

 

 

ガーネットの鉱物名

ガーネットの原石

 

日本では柘榴石(ざくろいし)と呼ばれ、赤色の宝石が柘榴に似ていることからそう呼ばれていますが、これ!という鉱物名がありません。 

なぜかというと、いくつかの鉱物で構成されており、パイロープ(苦礬柘榴石/くばんざくろいし)、アルマンディン(鉄礬柘榴石/てつばんざくろいし)、スペサルティン(満礬柘榴石/まんばんざくろいし)、グロッシュラー(灰礬柘榴石/かいばんざくろいし)、アンドラダイト (灰鉄柘榴石/かいてつざくろいし)などほかにもあり、ガーネットとはグループ名みたいなものです。 

 

ちなみにそれぞれの色ですが、パイロープ(苦礬柘榴石/くばんざくろいし)とアルマンディン(鉄礬柘榴石/てつばんざくろいし)は紫色から赤色。 

スペサルティン(満礬柘榴石/まんばんざくろいし)はオレンジ色と黄色。 

アンドラダイト (灰鉄柘榴石/かいてつざくろいし)は黄色から緑

 

 

様々なガーネットの名称と価値

美しい色合いのガーネット

 

デマントイドガーネット 

 

ダイヤモンドのような輝きを持つグリーン色で最高の評価をされており、1853年ロシアのウラル山脈で発掘されました。 

現在では、2002年に新しい鉱脈が発見され、日本で人気があります。

 

 

ツァボライトガーネット

 

グリーンガーネットとも呼ばれており、最近世に出てきたばかりで、知名度はまだまだですが、透明度が高く鮮やかな緑色のものは希少性があり高い評価を得ています。

 

 

スペサルディンガーネット

 

赤色系統ですが、含有成分の違いで色味が変わります。 

最近日本で人気が出てきています。中でも鮮やかなオレンジ色のマンダリンガーネットと呼ばれるものが人気があります。

 

 

ロードライトガーネット

 

流通量の多い赤色で、『バラのような』という意味です。 

中でも透明度があり紫がかった赤色で大ぶりなものが価値があります。 

 

 

アルマンディンガーネット

 

赤色系統で深みのある赤色をしています。 

このガーネットは多く産出されるため、価格もそこまで高くはありませんが、透明度がありテリがあるものは評価が高くなります。

 

 

上記2つは産出量も多くなるため価値はそこまで高くはありませんが、綺麗な宝石には違いがありません。

 

 

ガーネットの特徴

マーキスカットされたガーネットの指輪

 

粉末にしたガーネットを紙やすりとして使用することがあったぐらい硬度が比較的高く、紫外線や熱にも強いです。また、鉱物名でも先述しましたが、アルマンディンやパイロープなど、様々な名称や色を持ち合わせています。 

また、カラーチェンジ(日光・蛍光灯・白熱灯など異なる光の下で宝石の地色が違って見える現象)やスター効果のあるガーネットなどもあります。

 

 

ガーネットの取り扱い

ガーネットのルース

 

複数種類あるため硬度(MAX10)が6.5~7.5となり幅があります。

普段手入れをする場合は柔らかい布で優しく拭いてください。

久し振りのお手入れや皮脂汚れなどが目立つ場合は、温かい石鹸水や中性洗剤を溶かした温かいお湯を使い、柔らかいブラシで優しくこすって汚れを落とし、水ですすいで柔らかい布でこれまた優しく拭いてください。

 

超音波洗浄機はフラクチャー(表面から内部まで達している割れ目)があったり、その割れ目を埋めきれいに見せているフラクチャー充填処理がされている場合は超音波洗浄はしないでください。

また比較的硬度が高いと先述しましたが、デマントイドガーネットは硬度が低くなりますので、より丁寧な取り扱い、お手入れを心がけて下さい。 

 

 

最後に

 

歴史上最も古いとされるガーネットは、トパーズサファイアのように様々な色を楽しむこともでき、モノによっては4大宝石(ダイヤモンド、サファイア、ルビー、エメラルド)に引けを取らない宝石です。 

 

また、メインとなる赤色のモノは産出量も多く中には高品質のものも混在していますので、安く高品質な赤色のガーネットをファッションとして身に着けるのも魅力のひとつではないでしょうか。