宝石の中でも特に人気の高いダイヤモンド。
婚約指輪の定番の宝石として、一粒のダイヤモンドが施され上品さを感じさせるデザインが人気でした。
ただ、近年では婚約指輪のデザインも豊富になってきています。
今までの婚約指輪は一粒のダイヤモンドに重みを感じ、特別なシーンでしか着けられないというイメージが生まれていました。
それが最近では普段から身に着けやすいシンプルなデザインを求める方が増えてきています。
そこで、人気を誇る宝石が「メレダイヤ」です。
今回は、「メレダイヤ」の基本的な知識について紹介していきます。
目次
そもそもメレダイヤとは
メレは、「Melee(小さい)」というフランス語が由来となっています。
つまり指輪やネックレスのトップに飾られているメインの宝石周囲に散りばめられている小粒なダイヤモンドのことを指しています。
具体的な大きさの基準はジュエリー業界内でも厳密な基準が設けられていなく、0.1カラット以下、0.2カラット以下、0.3カラット以下、と人それぞれが定義しているケースが多く見受けられています。
また、世界各国でもバラつきがあるようです。
ただ、日本ジュエリー協会発行の用語辞典では、0.1カラット以下とされていますので、国内においては0.1カラット以下をメレダイヤと呼ぶ方が正しいでしょう。
次にメレダイヤはどのようにして誕生しているのでしょう?
メレダイヤも当然ながら、ダイヤモンドの原石から作られています。
まず、一粒の大きなダイヤモンドは研磨の加工を経て作り出されます。
このときに大きさや形を整えるため、ダイヤモンドの一部がそぎ落とされます。
そのそぎ落とされたダイヤモンドを再加工して作られたものがメレダイヤになるのです。
今では多くのジュエリーとして使われており、時計の文字盤に埋め込まれていることもあれば、女性の爪先のネイルデザインとしても使われています。
メレダイヤにも品質の善し悪しがある
一般的なダイヤモンドには品質評価基準である「4C」がランク付けしている鑑定書が発行されています。
その鑑定書を見ると、グレードの高い低いは容易に判別することができます。
その一方で、メレダイヤに鑑定書が付くことはほぼありません。
なぜなら、鑑定書を発行している機関にダイヤモンドのグレードを記載するのに費用がかかります。
鑑定書はダイヤモンド1石に対し1冊発行するものなので、1石ならまだしも何石にも散りばめられた製品にひとつひとつ鑑定書を発行していれば、製品の価格が純粋に上がってしまうからです。
では、どのように見分ければ良いのでしょう?
ポイントは「輝き」の違いです。
ダイヤモンドに限らずメレダイヤもクラリティやカラーの品質が高いものは、カットの研磨制度を上げ、さらに美しく仕上げられることが一般的です。
そうすることによって光を取り込み、より一層輝きを増幅させることができます。
要は、キラキラと輝くメレダイヤは研磨制度が高く、尚且つクラリティやカラーの品質が高いのです。
その他には、品質の良いものは透き通った無色透明できれいです。
逆に品質の悪いものは、少し黄色っぽくなってくすんでいたり、氷砂糖のように白く濁っており見分けることもできます。
メレダイヤの価値は?
ダイヤモンドは、通常単体で価格が付けられています。
一方のメレダイヤは、単体で価格が付けられることはあまりありません。
以前までは、小粒であることを理由に「クズダイヤ」とも呼ばれていました。
しかし、メレダイヤも「4C」を満たすダイヤモンドなので、商品としての価値は十分に備わっており、一般的には1カラットいくらという形で取引されています。
ただ、同じ「カラット数」「品質」で比較するとダイヤモンドより価値は劣ります。
カラット数が大きくなればその価値は広がる傾向にあります。
例えば、0.2カラットなら2~3倍ほどの価格差であるものの、1.0カラット以上になれば10倍ほどの価格差になります。
それは、大きいダイヤモンドはあまり採れないことから、希少性が価値を押し上げているからです。
脇役の小さな宝石でありながら重宝されるメレダイヤ
メレダイヤは脇役の宝石でありながら、さまざまなジュエリーで使われています。
特に、高額帯のジュエリーになると、絶対と言ってもいいほどに脇石として飾られています。
それは、小さいながらもたくさんの光を取り込み反射させ、ジュエリーの中石に留められている宝石を引き立てる役割を果たしているからです。
今では婚約指輪を日常生活でも装着したまま過ごす方が増加傾向にあります。
そうなると必然的に使いやすさを求められます。
そこで婚約指輪の素材として人気が出てきています。
大きな宝石だと、洗い物をするときに邪魔になることもあれば、衣服やストッキングを履く際に引っ掛かったり、子供の学校行事に着けていくと派手さが出てしまいます。
それと比較して、メレダイヤが埋め込まれたデザインであれば、邪魔になることもなく引っ掛かることもありません。
そして、大きな宝石ほど主張し過ぎず、シンプルさの中に華やかさも演出してくれます。
また、前述したように一粒ダイヤモンドより安価であることも重宝される理由のひとつではないでしょうか。
メレダイヤをメインにしたデザインも
メレダイヤは、中石に留まっている宝石を引き立てるだけではありません。
大きさや形もさまざまで、メレダイヤにしかできないオリジナルのデザインを作り出すこともできます。
エタニティリング
エタニティは英語で「Eternity」と書いて、「永遠」の意味を持ちます。
指輪のアーム(指を通す輪の部分)に途切れることなく、同じサイズ・同じカットのメレダイヤを一列に留めたデザインが特徴です。
途切れることなく並んでいることから、「永遠の愛」のモチーフとして婚約指輪として選ばれることも増えてきています。
デザインは主に「フルエタニティリング」と「ハーフエタニティリング」の2つに分けられます。
フルエタニティリング
指輪のアーム全周にメレダイヤが埋め尽くされています。
そのため、指輪がメレダイヤだけで作られたかのように錯覚するようなデザインで、非常に豪華な印象を受けます。
さらに、あらゆる角度から見てもキラキラと輝き、華やかなシーンでもお洒落感を演出してくれます。
また、指の根元で指輪がくるくる回ったとしても、同じデザインなので気になることはありません。
しかし、一列にびっしり埋め尽くされている影響で、購入後のサイズ直しには不向きと言われています。
そのため、購入の際は慎重にサイズ選びすることをおすすめします。
ハーフエタニティリング
全周にメレダイヤが埋め尽くされたフルエタニティリングとは異なり、指輪の半周に埋め尽くされたのがハーフエタニティリングになります。
フルエタニティリングと比較すると、メレダイヤの数も半減してしまい物足りなさを感じてしまいますが、それでも手の甲にあたる部分はキラキラと輝きます。
メレダイヤの数が少なくなっているので、ハーフエタニティリングの方がお手頃な価格で購入することができます。
また、埋まっていない地金部分があるため、フルエタニティリングよりサイズ直しはしやすいとも言われています。
パヴェリング
パヴェとはフランス語で「石畳」「敷石」という意味です。
指輪に複数のメレダイヤを「石畳」のようにたくさん敷き詰めたデザインで、輝きがあり華やかです。
パヴェリングはエタニティリングのように、同じサイズ・同じカットのメレダイヤを一列に留めたデザインだけではなく、センターに大きな宝石が飾られることもあります。
また、エタニティリングは一列に配置されるのに対し、パヴェリングは何列にも配置されることもあります。
そのため、エタニティリングと比較しても「高級感」や「ゴージャス感」を演出してくれます。
最後に
メレダイヤとは小さいダイヤモンドのことを指していることが分かりました。
それゆえ、単体でメインを飾る宝石としては不向きですが、中石の引き立て役として重要な役割を担っており、ジュエリー製品に欠かすことができません。
また、「4C」を満たすダイヤモンドであることから、ジュエリーの完成度に大きく影響を与えます。
ついつい中石だけに意識がとらわれがちですが、メレダイヤの品質までこだわれば、きっとジュエリーに対する想いが変わるはずです。