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11月の誕生石!多様な色を持つトパーズの歴史


トパーズのプラチナリング

 

11月の誕生石トパーズといえば、黄色や青色をイメージする方が多いかと思います。 

しかし、トパーズは黄色や青色以外にも、無色・淡緑色・ベージュ色・ピンク色などがあり、稀に赤色など多彩な色をもっています。 

その中でも赤みを帯びた黄色が代表的なもので、ワインのシェリー酒と表現されることもあります。 

そんな多彩な色を持つトパーズの歴史は古く、他の宝石とは異なった一面もありますのでご紹介していきます。

 

 

トパーズの名前の由来と歴史

宝石を見る眼鏡と本

 

トパーズの名前の由来は紀元前まで遡ります。 

紅海に浮かぶ島「トパジオス(Topazios)」(現ゼベルゲット島)で採掘していたことから、その名前にちなんで「トパーズ」と名付けられました。 

しかし、当時は鉱物学が進んでいなかったため、実際その島で採掘していた宝石はペリドットであり、トパーズ自体は採掘されていなかったのです。 

そのため、古代からトパーズとリドットが混同されていました。 

 

ちなみに、島の名前の由来は、船で簡単に辿り着くことが困難だったため「幻の島」とされており、ギリシャ語で「探し求める」という意味から「トパジオス(Topazios)」と名付けられています。 

 

古代エジプトでも重宝され崇められてきた宝石のひとつになります。 

邪気から身を守ったり、病気を治す効果があるとして‟太陽神ラー”を象徴する宝石として取り扱われていました。 

 

1300年以降のヨーロッパでは、トパーズが暗闇の中でも光を帯びる蛍光性を持ち、暗闇でも見つけやすい特性から、魔法の呪文を解き怒りを払拭すると信じられていました。 

また、インドでは何世紀にもわたり心臓の上にトパーズを着用すると、長命・美しさ・知力が手に入れることができると信じられていました。

 

 

トパーズの原産地

トパーズの原産地風景

 

トパーズの原産地はブラジル、アフガニスタン、モザンビーク、ナイジェリア、、パキスタン、オーストラリア、ロシアなど広範囲で採掘することができます。 

その中でも、ブラジルのルナス・ジェライス州が世界最大の産地として有名です。 

日本では田上山(滋賀県)や苗木地方(岐阜県)でも採掘され、以前は世界を代表する産出国の一つだったようです。

 

 

トパーズの鉱物

トパーズの鉱物

 

マグマからできる花こう岩や流紋岩の割れ目の空間から採掘される‟ケイ酸塩鉱物”になり、和名「黄玉」とも言われています。 

その‟ケイ酸塩鉱物”に含まれる「水酸基(OH)」「フッ素(F)」によって区分され、OHタイプの場合オレンジ色(赤みを帯びた橙色)をしており、ワインのシェリー酒の色として例えられ、希少性や美しさから「インペリアルトパーズ」として分類されています。 

その一方で、多くのトパーズはFタイプのもので、お手頃な価格で手に入れることができます。 

色は無色・青色・茶色などがあり、ほとんどは無色から茶色の石になります。 

その無色から茶色の石に何らかの加熱処理を行い黄色や青色に加工され市場に流通されます。

 

 

トパーズの特徴

トパーズを拡大で見る眼鏡

 

宝石として扱われるトパーズには内包物(インクルージョン)がなく、非常に美しい宝石です。 

しかし、トパーズは水には強いものの、熱や光には弱く、場合によっては変色することもあります。 

また、産地によっても特徴が異なりますのでご紹介していきます。

 

 

ブラジル産

 

世界最大の産地として有名なブラジルでは多彩なトパーズが採掘することができます。 

前述の通り、ワインのシェリー酒に例えられている「インペリアルトパーズ」が採掘され、市場でも高値で取引されています。 

また、この「インペリアルトパーズ」を加熱処理してピンクに変色することもできますが、色が濃ければ濃いほど美しいピンクに仕上がるとされています。

 

 

パキスタン産

 

パキスタンでもワインのシェリー酒に例えられている「インペリアルトパーズ」が採掘されます。 

その他にもFタイプのトパーズも産出しますが、OHタイプのピンクトパーズが採掘できることが最大の特徴です。 

ブラジル産のピンクトパーズは加熱処理を行っているのに対し、パキスタン産のピンクトパーズは何ら処理も行っていないピンクで、色が濃く鮮明な高品質からインペリアトパーズより希少で高値で取引されます。

 

 

ロシア産

 

18世紀から19世紀いかけて、ウラル山脈南部の川沿いで赤色がかった濃いピンクトパーズが採掘されていたそうです。 

しかし、今ではピンクトパーズは採れなくなっています。 

様々な色のトパーズが採掘され、その中でもブルートパーズの採掘が中心とされています。

 

 

トパーズの取り扱い

トパーズの指輪とルース

 

トパーズは硬度(MAX10)8で宝石の中でも高いものの、靭性(MAX10)が5であることから、衝撃には弱く割れやすく、熱や光にも弱い性質を持っています。 

そのため、ジュエリー屋さんや眼鏡屋さんに設置している超音波洗浄機で洗浄すると、割れてヒビが入る可能性がありますので使用しないようにしましょう。 

また、洗浄する際は、熱に弱いことからぬるま湯に中性洗剤を泡立て、毛先の柔らかい歯ブラシなどを使って洗い流します。 

終わりましたらぬるま湯で洗い落として、柔らかい布などで拭きとってください。 

あと、保管場所は涼しい暗所で、出来る限り日光にあてないようにしましょう。

 

 

最後に

 

世の中には様々な宝石が存在していますが、その中でも名前の由来がペリドットと勘違いされ名付けられたって今では信じがたい話でした。 

そんな勘違いがあったとしても、古代の人々は幻の島(トパジオス)へトパーズを探し求めに行っていたことは事実なので、その行動がなければペリドットやトパーズは誕生石に指定されていなければ、宝石としての立ち位置も変わっていたかもしれません。