近年、街中には貴金属や宝石を買取してくれるお店が多く見受けられるようになりました。
ジュエリーやブランド品を取り扱う専門店や、さまざまな商品を取り扱うリサイクルショップ、眼鏡屋さんやハンコ屋さんなどを営みながら貴金属や宝石の買取を行っているお店もあります。
さらには、インターネットで申し込んで買取してもらえる宅配買取サービスや電話1本で査定員を派遣してもらえる出張買取サービスを行う業者もあり非常に便利になりました。
しかし、その一方で「二束三文で買い叩かれた」というお声も耳にします。
そこで、以前のコラムでは使わなくなった指輪やネックレスを高く売るコツについてお話ししましたが、今回は大切に使用していた思い入れのある指輪やネックレスだからこそ、後悔することのなく納得のいく金額で売却できるよう、いくつかの注意点について紹介していきます。
目次
まずはお店選びから
指輪やネックレスを売却される際、もっとも大切なのがお店選びになるかと思われます。
今ではさまざまな形態のお店があり悩んでしまうものです。
まずは、それぞれのお店について特徴を知っておくことが大事になります。
ジュエリー・ブランド買取専門店
やはりジュエリーやブランド品を取り扱う専門店であれば知識も豊富で、市場価格も把握しており、貴金属や宝石を鑑定する機材も揃っているので価値に見合った査定金額を提示してくれることでしょう。
お店によって査定金額の算出方法は異なるものの、極端に低くなることは少ないです。
また、対面で査定を行ってくれるので、説明もしっかりしていただけるので安心です。
リサイクルショップ
リサイクルショップはさまざまな商品を取り扱っていることから利用される方も多く、気軽に買取の相談をすることができます。
さらに、指輪やネックレスとついでに不要になった洋服や電化製品などもまとめて買取してもらえます。
ただ、幅広い商品を取り扱っていることから貴金属や宝石に特化しているわけではないため、スタッフによっては正確に査定することが難しいこともあり、場合によっては低い査定金額を提示されることがあるかもしれません。
他業種であるお店
他業種である眼鏡屋さんやハンコ屋さんは地域に根付いており、中には店員と顔見知りの方もいるため、安心して相談することができます。
しかし、あくまでも本業をメインとし、貴金属や宝石の買取はサブで行っていることが多く、相場より低く提示されるケースがあります。
また、場合によってはお預かりとなり、査定金額の提示に時間がかかることもあるようです。
宅配買取業者
宅配買取はホームページの申し込み画面から依頼すると、後日宅配キットが送られてきますので、そこに売却品を詰めて送れば数日以内に査定結果の連絡があります。
わざわざお店まで出向く必要がなく、自宅で全て完結するため非常に便利なサービスです。
ただし、査定員の顔が見えなく、発送からの現金化までに数日かかったりと少し不安を感じるかもしれません。
また、輸送中の紛失リスクもあれば、万が一買取をキャンセルした場合は返送料を負担するケースもあります。
もし宅配買取を依頼されるのであれば、運送保険サービスを備えたお店を選べばより安心です。
出張買取業者
お店に足を運ぶ場合は、ガソリン代や公共交通機関を利用するため交通費がかかってしまい、もし近場にお店がない方でしたら何時間もかけて行く必要があります。
いざ到着したとしても待ち時間があれば、さらに時間を費やすこともあり得ます。
しかし、出張買取は自分の都合のいい時間に自宅や指定場所まで買取にきてもらえます。
さらに高額なジュエリーを運ぶ必要がないので、危険リスクもありません。
何より、大切な時間を有効活用できることが最大の魅力でしょう。
その反面、知らない人を自宅の玄関先まで入れる必要があります。
そして、思っていた値段に開きがあったとき、「断りづらさ」があると言われています。
それは、遠方から家まで来てもらったのにそのまま手ぶらで帰っていただくのも申し訳ないな、という気持ちが働いてしまうからでしょう。
基本的な査定の算出方法を把握しておく
指輪やネックレスの基本的な査定方法は、まずは土台となる地金の「品位(刻印)」を調べます。
「品位」とは、主となる貴金属が含まれている割合のことを指しています。
金であればK24は99.99%以上の金が含まれており、K18なら75%、K14なら58.5%の金が含まれています。
要は、K24に近い数字(K22,K20)ほど金の割合が高く買取単価も高くなり、逆にK24から遠い数字(K10,K9)になれば金の割合が低く買取単価も低くなります。
その次に地金の重量を量ります。
重量は小数点第1位まで量ることが一般的で、重量に地金単価を掛けて「地金代金」が算出されます。
続いて土台に乗っているダイヤモンドやルビー、サファイア、エメラルドなどの「宝石代金」を地金代金に上乗せします。
ただ、宝石は地金のように明確な査定基準がないことを理解しておく必要があります。
それは、鑑定書が付属されているダイヤモンドであっても、鑑定機関や発行年によって査定方法が変わり、鑑定書のないダイヤモンドや色石であるルビー、サファイア、エメラルドなどになると、あくまでも査定を行うスタッフ個人の基準になるからです。
最後にブランド品であればブランド価値が+αされます。
また、ブランド品でなくてもそのジュエリー製品が再販可能と判断された場合は、製品代として+αされることもあります。
このように、地金単価×重量+宝石代金+ブランド価値(製品価値)で算出されることが一般的です。
ただし、宝石代金や製品の可否基準はそのスタッフ個人によって価値が異なるため、それらに該当しそうな品々はいくつかのお店を回ってみるのも良いかもしれません。
過度な期待はしない
指輪やネックレスの購入額を思い返し、それなりの査定金額を期待してしまう方も多いことでしょう。
もちろん、購入時より地金相場が数倍に上昇したり、宝石の希少性が高くなったり、有名ブランドが手掛けた一点ものになれば、もしかすると購入時より高値になることもあり得ます。
しかし、売却する場合はあくまでも材料代としての金額になるのに対し、購入時は材料費+デザイン費+製作費+物流費、人件費、各事業者の利益など、さまざまな金額が上乗せされています。
よって、普通に考えても購入時の数分の一になることは当たり前であり、中には数十分の一になることも理解しておく必要があります。
サービス内容を確認する
近年、新聞折込やポスティング、インターネットでも多くの貴金属買取店の広告を目にする機会が増えてきています。
ただ、その広告を見てもどのお店を選べばいいのか迷ってしまう方も多いかと思われます。
それは当たり前のことであり、実際そのお店まで足を運ばないとサービス内容が確認できないからです。
ここでは、お店のサービス内容について注意点をいくつかあげておきますので参考にしてみてください。
キャンペーンやクーポンに惑わされない
新聞折込やポスティングのチラシの端に「〇〇%アップ」のクーポンが付いていたり、インターネットであればスマホ画面を見せれば同じようにクーポンが利用できるサービスもあります。
どのお店も店舗運営している以上、やはり利益があがるような仕組みになっています。
その利益の一部を還元しているのであれば納得できるものの、中にはそもそも最初からアップされる金額を調整していることもあるようです。
その判断は非常に難しですが、「20%アップ」「30%アップ」のように数字が大きくなれば調整されている可能性が高いと考えても良いでしょう。
ネックレスの切れやデザインが古くなると安くなる?
前述の通り品位、重量、宝石、ブランドもしくは製品代で査定金額が提示されます。
それなのに、「ネックレスが切れている」「指輪のデザインが古い」などを理由に査定金額を下げてこようとする業者もいます。
要は、あの手この手で安く買取利益をガッツリあげようとしているのです。
そのようなセリフを吐かれた際は、査定金額が安いと考えて良いと思われます。
重量の確認ができない
多くのお店の場合は対面テーブルに設置している量りを使用して計量してくれます。
それであれば自分の目で見て重量を把握することができるので安心です。
しかし、お店の奥に量りを設置している場合があります。
そのような場合、計量するからといって見えないところへ持っていかれると不安にもなりますし、そもそも正確に計量されているのか疑問になってしまいますので、できれば目の前で計量してくれるようなお店をおすすめします。
スタッフの接客対応や力量
今まで大切に使用していた指輪やネックレスだからこそ「なぜそのような査定金額になったのか?」誰しも知りたいはずです。
きちんとしているお店では「地金代金」「宝石代金」などを項目ごとに分けて査定金額を記載していたり、「地金代金」「宝石代金」などまとめて金額を記載していたとしてもそれぞれの説明をしてくれます。
もし、査定金額の説明などがなければスタッフの力量に疑問視しても良いです。
また、いざ査定金額が提示されたとしても、思い出の詰まった指輪やネックレスを手放す判断は非常に難しく悩んでしまうものです。
そんなとき、スタッフに売却するように促されることもあるようで、そのまま冷静な判断ができず売ってしまわれる方も多いようです。
ただ、売却を促す行動は査定金額に自信がないため、お客様が持ち帰り他店を回ってしまえば帰ってこないという考えがあるからではないでしょうか。
査定金額に自信があるのであればそのような行動はしないはずです。
仮にそのような行動があれば、他店も回って比較してみても良いでしょう。
最後に
指輪やネックレスを売却する際は、お店選びから始まり、どのような算出方法で査定金額が提示されるのかを理解しておく必要があります。
そして、お店によって査定金額の算出方法は異なるため、納得がいかない場合は一店舗だけではなく数店舗に査定依頼をお願いすることをおすすめします。
とはいえ、品々に詰まっている思い出は無価値として買取され査定金額には反映されません。
ぜひ、売却を検討される際は「本当に売却してもいいのか」という冷静な判断をしてください。
その判断こそがもっとも大切な注意点になるかもしれませんので。