「宝石の王様」と呼ばれ永遠に光り輝くダイヤモンド。
今から9億年以上前に地球の奥深くで作られ、長い年月をかけて地表まで上がり、人の手によって採掘や加工が行われ、私たちの手元に届きます。
ただ、いったいどこで、どのようにして採掘が行われているのでしょう?
また、私たちの手元に届くまでの過程について紹介していきます。
目次
ダイヤモンドの原産地
現在確認されているダイヤモンドの原産地は20カ国以上と言われています。
その中でも、ロシア、ボツワナ、コンゴ民主共和国の3カ国が世界三大産地として有名で、その他にもオーストラリア、カナダ、アンゴラ、南アフリカ共和国なども知られています。
2018年3月時点での総採掘量のランキングは以下の通りです。
1.ロシア
2.ボツワナ
3.コンゴ民主共和国
4.オーストラリア
5.カナダ
6.アンゴラ
7.南アフリカ共和国
8.ジンバブエ
9.ナミビア
10.シエラレオネ
1位ロシアの総採掘量は2位ボツワナの2,000万カラットの倍以上となる4,200万カラットで突出した量が産出されており、10年連続で1位の地位を守り続けています。
しかし、金額ベースで算出すると、ボツワナがロシアを抜き1位になることもあるようです。
もちろん、その年の産出量によって変動しますが、ボツワナ産はロシア産の1.5倍ほどの価値になるからです。
それは、ボツワナ産はロシア産に比べると大きな原石が採れることと、品質の高いダイヤモンドが産出されるからです。
また、ロシア、カナダ、オーストラリアを除く7カ国は全てアフリカの国が占めていることから、アフリカはダイヤモンドを産出する重要な地域であり、さらに、シエラレオネを除く6カ国はアフリカ大陸の南側に位置していることから、その土地は数億年前から火山活動が活発であったと考えられます。
ダイヤモンドの採掘方法
ダイヤモンドの原産地はロシアを筆頭に、多くのアフリカの国で産出されることが分かりました。
では、次に採掘方法がいくつかありますので紹介していきます。
パンニング
土砂をパンニング皿というお皿に入れて水中で揺すります。そうすると重たい土砂が残るので、その中からダイヤモンドを採取する方法です。
テレビなどで砂金を取っているところを紹介されていたりしますが、まさにあれです。
実際に体験した方もいらっしゃると思いますが、何度も何度も繰り返し行い足腰がきつく地道な作業で、採れる量も非常に少ないです。
パイプ鉱床
パンニングの次に誕生した採掘方法がパイプ鉱床になります。
地表に数百メートルから1キロメートルほどの穴を掘り、ダイヤモンドの原石が含まれているキンバーライトと呼ばれる岩を爆薬などで粉砕し、そこから回収する方法です。
ただ、掘り出したキンバーライトの2000万分の1しか採掘できません。
また、この中から宝石の品質があるのは10%~20%程度と言われています。
漂砂鉱床
漂砂鉱床とは鉱山が雨や河川、風などによって削られ、その削られた土砂が堆積してできたり、海に流れた土砂が海岸に打ち寄せられて堆積した鉱床のことです。
漂砂鉱床ではブルドーザーやパワーショベル、真空吸引機などで採掘を行いますが、土砂の中から1億分の1程しか見つからず、そのうち宝石の品質があるのは30%~40%程となります。
ダイヤモンドは宝飾用と工業用に仕分けられる
ダイヤモンドは鉱床から採掘された後、宝飾用と工業用に分けられます。
宝飾用として扱われるには加工(研磨やカット)が必要なため、ある程度の大きさが必要になります。
また大きさは十分でも全体的に不純物があるなど、宝石になるための基準をクリアしないと宝飾用として扱われません。
そのため、採掘方法でも先述したように工業用が大半で、宝飾用は一部になります。
宝飾用ダイヤモンド
宝飾用は全体の約20%ほどになり、その中から品質別に分けられます。
品質の低い宝飾用ダイヤモンドは安価なアクセサリーなどに使われることが多いです。
一方、透明で美しい輝きを持つ宝飾用ダイヤモンドはブライダルジュエリーや高級ジュエリーに多く使われています。
ただ、透明で美しい宝飾用ダイヤモンドは、全体量の20%からさらに少ない量しか採れないことから、市場でも高く取引されています。
工業用ダイヤモンド
全体の約80%が工業用に使われますが、「汚い」「黒い」「小さい」から工業用になるわけではありません。
中には、きれいで宝飾用ダイヤモンドより高いものもあるようです。
用途としては皆さんが聞いたことのある、石材や金属、アスファルトを切断するダイヤモンドカッターが有名です。
その他には、テレビショッピングでおなじみの包丁を研ぐ砥石やダイヤモンドコーティングされたフライパンになるでしょう。
また電球やレコードの針にも使われており、意外と身近なところで活躍しています。
ダイヤモンドの原石から宝石へ
ダイヤモンドの原石は私たちが知っている輝いている形ではなく、ごつごつした石みたいな形をしており、これを「ダイヤモンド・ラフ」と言います。
この「ダイヤモンド・ラフ」の状態では美しい宝石ではなく、宝石としての価値もほぼありません。
そのため、人の手によって品質ごとに仕分け、研磨、カットされ、宝石としての価値を生み出す必要があります。
そこで、研磨地として有名なインドや中国やベルギーを経由し、仕分け、研磨、カットの加工工程が行われ、私たちが知っているダイヤモンドへと姿を変えていきます。
宝石として研磨されたダイヤモンドは世界各国へ輸出されていく
ダイヤモンドは宝石のまま、もしくはジュエリー製品となり世界各国に輸出されます。
もっとも輸入量が多い国はアメリカで全体の30%ほどを占めています。
続いて、中国、インドで両国ともに全体の10%ほどになります。
我が国日本は、全体の5%前後になります。
ただ、感覚的に中国(14.3億人)やインド(13.5億人)は人口も多ければ富裕層も多く、アメリカ(3.2億人)と比較してもどちらかの国が世界一であってもおかしくないと思われます。
では、なぜ中国やインドより人口の少ないアメリカでの需要が多く、アメリカの4倍以上の人口を誇る中国やインドはアメリカの1/3ほどにとどまっているのでしょう?
まず、ダイヤモンドの需要は単純に人口に比例するわけではありません。
あらゆる商品に必要不可欠なことは、その商品を消費できる人口がいるかどうかです。
そして、ダイヤモンドは富裕層の方が多く購入していると思われがちですが、実際には中間層が支えているのです。
そのため、貧富の差が広まっている中国やインドでは中間層が少なく、逆にアメリカは中間層が多いということになります。
それは、移民の受け入れがアメリカは容易で、消費できる人口が流動的だからでしょう。
最後に
ダイヤモンドの産出国で真っ先に思いつく国として、アフリカの国をイメージされていた方も多かったのではないでしょうか?
もちろん、アフリカの多くの国で産出されることは間違いではありませんが、世界一の産出国がロシアであることは意外だったかと思われます。
どちらにせよ、ロシアやアフリカは数億年前から火山活動が活発であった土地であることが分かったかと思われます。
また、ダイヤモンドは宝飾用に限らず、工業用として私たちの生活で身近な存在でもありました。
それは、中間層や富裕層だけではなく、世界中の人々にダイヤモンドの魅力を知ってもらいたいという自然が生みだした奇跡かもしれません。