ダイヤモンドと言えば、無色透明なものを一般的にイメージされますが、実はさまざまな色がついたカラーダイヤモンドが存在しています。
誰もが想像できる赤や青、緑もあれば、想像がつかない鮮やかなカラーも存在し、12種類もの色があります。
近年では非常に人気を高めており、市場においても高値で取引されることもあります。
今回は、そんなカラーダイヤモンドについて紹介していきます。
目次
カラーダイヤモンドの特徴
通常の無色透明なダイヤモンドは地底のマグマに含まれる炭素原子が高温・高圧の環境の中で結晶化され誕生しますが、カラーダイヤモンドは、結晶構造の歪みや炭素原子に微量な「窒素原子」「ホウ素原子」などを含むことによって多彩な色に変化します。
ただ、この「窒素原子」「ホウ素原子」は、地表下のマントルでは僅かな存在なので、その原子を含むことはとても稀で、その希少性から近年では非常に価値のある宝石として扱われています。
このように自然条件が重なり合うことによって天然のカラーダイヤモンドは誕生し、その中でも特に発色の良いものは「ファンシーカラーダイヤモンド」と呼んでいます。
また、その一方で無色透明で採掘されたダイヤモンドに人工的な加工が施されたカラーダイヤモンドもあります。
ダイヤモンドに熱処理や放射線処理を施すことによって色を変化させています。
市場にも多く流通されており、見た目も鮮やかな色合いで「トリートメントダイヤモンド」と言われています。
もちろん、天然のカラーダイヤモンドに比べると、お手頃な価格で販売されていることが多いです。
ピンクダイヤモンド
カラーダイヤモンドの中でも特に人気を誇っているのが、女性に好まれる色合いのピンクダイヤモンドです。
1979年にオーストラリア北部のアーガイル鉱山で最初に発見されています。
それ以降、世界各地でも発見されていますが、市場に出回る90%ほどはアーガイル鉱山が占めています。
色の発色は、ダイヤモンドの結晶格子に窒素原子が含まれ、窒素原子に付随する炭素原子が欠けピンクダイヤモンドとなります。
価格は無色透明のダイヤモンドの200倍以上になると言われています。
レッドダイヤモンド
レッドダイヤモンドはカラーダイヤモンドの中でもっとも希少で高価な宝石として扱われています。
それは、世界でも年間数十個しか採掘されず、ほぼ市場に出回らないからです。
そのため、ほとんどの宝石には産地があるものの、レッドダイヤモンドは数が少なすぎるため、産地がないとされています。
近年では産出量も減少していることから、今後さらに価値を高めることとなるでしょう。
ブルーダイヤモンド
ブルーダイヤモンドはもっとも高価とされているレッドダイヤモンドに次ぐ価値があります。
形成過程は、ダイヤモンドの結晶に微量のホウ素が混ざることによってブルーに輝きますが、そのホウ素はダイヤモンドが結晶する地中奥深くに通常存在しないことから産出量は極めて少なく希少とされています。
そのため、市場に出回ることがほぼありません。
産地は、南アフリカのカリナン鉱山が占める割合がもっとも多く、2014年には29.6カラットの巨大なブルーダイヤが採掘されています。
他には、アフリカ西部に位置するシエラレオネやインドネシアのボルネオ島、ブラジルなどでも発見されていますが、採掘される量は非常に少ないです。
グリーンダイヤモンド
グリーンダイヤモンドは形成過程で窒素を含み、地中深くに存在する放射性元素による照射によって着色します。
ただグリーンと言っても、若草のようなクリアなグリーン色もあれば、青みがかったエメラルドを連想するグリーン色などさまざまな色が存在しています。
また、カット方法によっては色の出方を変えることができ、蛍光性が強いことからブラックライトに当てると鮮やかな輝きを放ちます。
しかし、放射性の影響で表面のみグリーンになっていることもあるため、カット方法を誤ってしまえばグリーン色がなくなることもあるようです。
パープルダイヤモンド
パープルダイヤモンドは濃い紫のものから淡い紫のものまで色幅が広いため、色が濃くなると「ブラウンダイヤモンド」と鑑定されたり、色が薄くなると「ピンクダイヤモンド」と鑑定されることがあります。
形成過程は、結晶の歪みによって紫色に変色すると言われています。
そのためか、大きな力を加えると割れたり欠けたりすることから状態の良いものは非常に希少で、レッドダイヤモンドに近い希少性が出ることもあります。
バイオレットダイヤモンド
パープルダイヤモンドの中でも青みかかった色合いをしているものをバイオレットダイヤモンドとして分類しています。
鮮やかな青紫色をしているバイオレットダイヤモンドは数少なく、ほとんどが淡い青紫色をしたグレー色に近いものが多いようです。
その中でもグレー色が強ければグレーダイヤモンドとして分類されています。
ハイドロゲンという水素を含むことによって着色しており、ピンクダイヤモンドを産出するオーストラリア北部のアーガイル鉱山でしか採掘できません。
しかし、このアーガイル鉱山も2020年をもって閉山が決定しているので、もしかすると今後さらに価値を高めるかもしれません。
イエローダイヤモンド
一般的に出回っているダイヤモンドでも黄色味を帯びたものは少なくありません。
そのようなダイヤモンドは評価が低いことが多いです。
黄色の彩度が高いダイヤモンドだけがイエローダイヤモンドとして分類されており、その中でも鮮やかな色合いをしているものが希少性が高く、特に色の濃いイエロー色はもっとも価値があるとされ「カナリーイエロー」と呼ばれています。
ちなみに、「カナリー」は美しい黄色の羽を持つカナリアが由来とされています。
ただ、イエローダイヤモンドは他のカラーダイヤモンドと比べ産出量が多いことから安価で取引されることが多いようです。
オレンジダイヤモンド
ピンクダイヤモンドやバイオレットダイヤモンドと同じく、主にオーストラリア北部のアーガイル鉱山で採掘されます。
普通、ダイヤモンドは黄色~ブラウン色が強くなると価値が低くなりますが、オレンジダイヤモンドの場合は逆で価値が高くなります。
品質の良い同系色のイエローダイヤモンドと比較しても価格差は10倍以上の価値があります。
2013年スイスのジュネーブで開催されたオークションでは、アーモンドの形をしたオレンジダイヤモンド14.82ctが31億円で落札されています。
ホワイトダイヤモンド
無色透明なダイヤモンドのことをホワイトダイヤモンドと呼ばれることもありますが、全くの別物になります。
また、白く濁ったようなダイヤモンドでもありません。
乳白色で半透明な色合いをしているものが、ホワイトダイヤモンドとして分類されています。
ダイヤモンドの産出において白みがかったものは多く採掘されますが、ホワイトダイヤモンドのように乳白色のダイヤモンドは非常に数も少なく、その希少性からカラーダイヤモンドの中でも人気があります。
2013年に行われた香港オークションでは、2011年アフリカ南部で採掘された118.28ct(卵と同等のサイズ)のホワイトダイヤモンドが30億円で落札され、ホワイトダイヤモンド史上最高値を更新しています。
ブラウンダイヤモンド
無色透明なダイヤモンドや他のカラーダイヤモンドと比較して、ブラウンダイヤモンドは価値が低くなることが多いです。
それは、ダイヤモンドの採掘が行われた当初、ほとんどの割合を占めていたブラウン色やイエロー色のダイヤモンドをブラウンダイヤモンドとして取り扱っていたため、他のカラーダイヤモンドより流通量が圧倒的に多いからです。
形成過程は、結晶構造の歪みであると考えられています。
近年では落ち着いた色合いから若い方を中心に人気が高まってきていますので、品質の良いブラウンダイヤモンドは価値を高めていくかもしれません。
グレーダイヤモンド
ブラウンダイヤモンド同様にグレーダイヤモンドは比較的入手しやすく価格もお手頃です。
どのように発色しているのか解明できていませんが、水素を含むことによって変化をもたらしていると考えられています。
他のカラーダイヤモンドとは異なり、暗い印象を与えるため、ジュエリーとしての評価は低いようです。
しかし、近年ではカラーダイヤモンド全体の需要が高まりつつあることから、グレーダイヤモンドも今後人気を高めていくと考えられます。
ブラックダイヤモンド
ブラックダイヤモンドは2000年頃まで主に工業用ダイヤモンドとして流通しており、ジュエリーとして扱われることはほとんどありませんでした。
それが、きれいに研磨することによって鋭い光沢や輝きを放つことから、ジュエリーに飾られる製品も増え人気を高めています。
また、パワーストーンとしても人気を高め若い方を中心に支持され、近年ではシルバーアクセサリーにも使われることが増えています。
ただ、現在市場に出回っているほとんどのブラックダイヤモンドはトリートメントダイヤモンド(人工的に加工が施されたダイヤモンド)であることが多いようです。
最後に
ダイヤモンドにもさまざまなカラーバリエーションがあることを知っていても、12種類ものカラーダイヤモンドが存在していたことを知らなかった人も多かったのではないでしょうか?
カラーダイヤモンドの多くは産出量の希少性から価値を高めていますが、中にはこれから発展していき、今以上に価値を高めていくカラーダイヤモンドが存在することも分かりました。
もちろん、無色透明なダイヤモンドも魅力ですが、個性的なカラーダイヤモンドを特別なシーンで愛用するのも良いかもしれませんね。