宝石の中でもっとも硬いダイヤモンドは、傷つくことなく永遠に輝き続けることから「永遠の愛」の象徴とも言われており、婚約指輪の定番の贈り物となっています。
婚約指輪は生涯で一度の贈り物なので、男性側は納得のいくものを贈り、女性側に満足してもらいたい人が多いことでしょう。
そのためには、ダイヤモンドを見極める知識、婚約指輪に適切なダイヤモンドを選ぶ必要があります。
今回は、ダイヤモンドを評価する「4C(よんしー)」という要素について紹介していきたいと思います。
カラット(Carat)
人によっては「〇〇カラットのダイヤモンド」って言葉を一度でも耳にしたことがある方もいらっしゃるでしょう。
何となく、ダイヤモンドの大きさと認識しているが、実際、詳しくは知らない方もいるのではないでしょうか。
カラットはダイヤモンドに限らず、宝石全般に使われる「重さ」の単位です。
1カラット=0.2gと定義されています。
要は、重さに「5」の数字を掛け合わせると、その宝石のカラットが分かります。
大きなダイヤモンドの原石は小さな原石より希少なため、希少価値が高くなります。
ただ、重さが単純に2倍になったからといって価値が2倍になるわけではありません。
二乗計算すると、おおよその目安がわかります。
例えば、同じ品質のダイヤモンドで、0.1カラット=5,000円だとすると・・・
0.2カラットは0.1カラットの2倍になり、2×2=4倍 5,000円×4=20,000円
0.5カラットは0.1カラットの5倍になり、5×5=25倍 5,000円×25=125,000円
このように、大きなダイヤモンドになればなるほど希少性が増し、重量に比例するのではなく、何倍もの価値を付けます。
しかし、あくまでも目安になり、その時の世界情勢によって価格変動することもありますので、大きくなればなるほど高価で取引されるものと留めていただいた方が良いかもしれません。
クラリティ(Clarity)
クラリティはダイヤモンドの「透明度」のことです。
ダイヤモンドは地球内部の地下深くで結晶化された鉱物になります。
そのため、ほとんどのダイヤモンド内部には内包物(インクルージョン)が含まれており、表面にはさまざまな傷があり、自然界では全く欠点のないダイヤモンドを発見するのは困難だと言われています。
内包物(インクルージョン)とは、ダイヤモンドが形成される際に混入した異物、割れ(フェザーとも呼びます)、結晶構造中の歪みのことを指します。
この、内包物(インクルージョン)や傷の大きさ、数、位置によって、「透明度」のグレードは以下の11段階に評価されます。
■FL(Flawless):フローレス
10倍に拡大して見ても、石の内部・外部ともに欠点が確認できない
■IF(Internally Flawless):インターナリー・フローレス
10倍に拡大して見て、内部に欠点はないが、外部に微細な欠点が確認できる
■VVS1(Very Very Slightly Included 1):ベリー・ベリー・スライトリー・インクルーデッド1
ごくわずかな欠点が確認できる程度で、熟練の鑑定士が10倍に拡大して見ても発見が困難
■VVS2(Very Very Slightly Included 2):ベリー・ベリー・スライトリー・インクルーデッド2
熟練の鑑定士が10倍に拡大して見れば、欠点を発見できるが困難
■VS1(Very Slightly Included 1):ベリー・スライトリー・インクルーデッド1
熟練の鑑定士が10倍に拡大して見れば、微小な欠点が発見できる
■VS2(Very Slightly Included 2):ベリー・スライトリー・インクルーデッド2
熟練の鑑定士が10倍に拡大して見れば、欠点が発見できる
■SI1(Slightly Included 1):スライトリー・インクルーデッド1
熟練の鑑定士が10倍に拡大して見れば、欠点を発見できるが、肉眼では発見が困難
■SI2(Slightly Included 2):スライトリー・インクルーデッド2
熟練の鑑定士が10倍に拡大して見れば、欠点を容易に発見できる
■I1(Imperfect 1):インパーフェクト1
肉眼で欠点を発見できる
■I2(Imperfect 2):インパーフェクト2
肉眼で欠点を容易に発見でき、透明度に影響がある
■I3(Imperfect 3):インパーフェクト3
肉眼で欠点を容易に発見でき、透明度・見た目に影響がある
カラー(Color)
カラーはダイヤモンドの「色」のことです。
ダイヤモンドには無色透明から薄い黄色まで自然の色がついています。
無色透明に近いほど光を透過させ希少価値が上がります。
逆に黄色味が濃くなるほど価値が下がります。
このカラーはアルファベットの「D」を最上級として、黄色味が濃くなるにつれ、「X」「Y」「Z」までの23段階のグレードに評価されます。
また、カラーの色の差は大変微妙なもので、熟練した鑑定士が理想的な照明の下でダイヤモンドをルース(石だけの状態)の状態で見て、違いが分かるくらいです。
では、なぜ理想的な照明の下で、ルースの状態にしないといけないのでしょう?
例えば、電球色の下でダイヤモンドを見ると、部屋自体がオレンジっぽくなるため、ダイヤモンドが黄色く見えてしまうからです。
ルースの状態にする理由は、金やプラチナで作られた指輪やネックレスに留まっていると、その金やプラチナがダイヤモンドに映り込んでしまうからです。
特に金であれば、無色透明のダイヤモンドを留めていても、薄い黄色味を帯びたダイヤモンドに見えてしまい、正確に評価することができないからです。
D~F:無色透明(Colorless)
G~J:ほぼ無色(Near Colorless )
K~M:ごくわずかな色味(Faint)
N~S:わずかな色味(Very Light)
S~Z:薄い黄色(Light)
カット(Cut)
カットはダイヤモンドの全体的な形のバランスや研磨仕上げの精度を表しています。
そのバランスや研磨仕上げによって、美しい輝きが決定される要素でもあります。
先述しました、「カラット」「クラリティ」「カラー」は自然が作ったものになりますが、「カット」は唯一人間の手によって美しい輝きを作り上げます。
そのため、経験豊富な熟練した職人技によって、バランスよく研磨制度の高いダイヤモンドは、光を取り込むことができ、美しい輝きを増幅させ、より一層価値を高めます。
一般的には以下の5段階で評価されています。
■Excellent:最上級
■Very Good:理想に近い
■Good:良好
■Fair:やや劣る
■Pour:劣る
「 Excellent」の中でも高品質なダイヤモンドを専用スコープ(円筒状のルーペのようなもの)で覗いてみると、光の反射により、中心から矢の形やハートのモチーフが見えたりします。
そのため、人によって言い方は変わりますがハート&アローと呼んだり、ハートを矢で射止めることから、多くの人はハート&キューピッドと呼んでいます。
この形が表れるダイヤモンドは「 Excellent」よりさらに高値で取引されています。
最後に
ダイヤモンドはこの4Cによって金額が変わってきます。
全ての要素を取り入れると、とてつもない金額になってしまいます。
大きさにこだわって見た目を重視するのか、品質にこだわって美しさを重視するのか、さまざまな選び方ができます。
ただ、婚約指輪でダイヤモンドを購入される際は、カラットは小さくても、彼女への純粋な気持ちを込めて、内包物(インクルージョン)など混じりけの少ない(SI1以上)グレード、純白なカラー(H以上)グレード、永遠に輝いてほしいという想いから美しい輝きを出すカット( Good以上 )グレードを選ばれることが、生涯で一度きりの最高の贈り物になるかもしれません。