プラチナとは
プラチナは白い光沢を帯びていることから和名「白金」とも言われております。
それは、黄金色のものは「金」で、白色のものは「白金」と分類されていました。
最近では、プラチナのことを「白金」と呼ぶ人も少なくなってきましたが、もともと日本ではプラチナのことを「白金」呼んでた時代もあったようで、特にご年配の方は「白金」と呼ぶ方が多いかもしれません。
プラチナの歴史
諸説ではありますが、約20億年前に巨大な隕石が地球に衝突し、プラチナを含む溶岩層が形成されたことで出来たと言われています。
古くは紀元前1200年代まで遡り、古代エジプトで装飾品としてわずかなら使用されていました。
現存する最古のプラチナ製品は「テーベの小箱」で、テーベ王国の女性神官であるシュペヌペットの墓から掘り出されたプラチナの化粧ケースで紀元前700年前後のものになり、今はルーブル美術館に収蔵されています。
また、南アメリカでもプラチナのアクセサリーが掘り出されており、紀元前後から原住民たちが純度80%以上のプラチナの装身具を作っていたことも判明しました。
18世紀となり、もともと銀加工が中心であったヨーロッパではプラチナの加工技術が確立されます。
スウェーデンの科学者によりプラチナの溶解が成功したことによって、金・銀・銅・鉄・鉛・錫に続く7番目の金属であることを突きとめられました。
それをきっかけにヨーロッパ諸国で競うかのようにプラチナの精錬(金属から不純物を取り除く作業)や加工の技術を研究するようになり、現在に至っているのです。
プラチナとホワイトゴールドは混同されやすい貴金属
今や非常に人気のあるプラチナやホワイトゴールド。
プラチナもホワイトゴールドもパッと見た感じは同じ‟白い貴金属”になりますが、何が違うのでしょうか。
プラチナは鉱山から発掘された時点ですでに渋い銀色をしており、ホワイトゴールドは加工の段階で銀色に変色するだけであって、そもそもの素材が黄金色の「金」から作られています。
見た目が一緒でも、素材が全く異なっています。
では、昔から混同されているプラチナとホワイトゴールドには一体何があったのでしょう。
銀色のプラチナは‟白い金”ということから「白金」と呼ばれ、第一次世界大戦前から希少性があり高価な鉱物でした。
しかし、第一次世界大戦中にロシア(旧ソ連)からのプラチナの輸入がストップしたことによってプラチナの代替品としてヨーロッパでホワイトゴールドが誕生しました。
それをきっかけに「プラチナ」=「白金」だったものが、「白金」=「ホワイトゴールド」となり、「白金」=「白色の金」と解釈されることとなってしまい、現在に至っています。
そのため、第一次世界大戦(1914年~1918年)から100年以上経った今でも混同され続けているようです。
希少性のあるプラチナ
プラチナは金に比べると産出量少ない貴金属です。
金の年間産出量はおよそ3,000トンほどに対し、プラチナの年間産出量は200トンに満たなく、金の産出量の約1/15以下となっています。
また、金の産出は世界各地に散らばっていますが、プラチナの産出は一部の地域に限定されています。日本でも新潟や北海道でも産出されましたが、純度の高いものはなかったようです。
プラチナの特徴
プラチナの一番の特徴は融点が1,769℃と非常に高く比重(水よりも何倍重いか)が21.45で重い貴金属になります。
ちなみに、金の融点は1,064℃で比重が19.32、銀の融点は961.8℃で比重が10.5になります。
この数字を見ていただければ、プラチナは他の貴金属よりも重くて火に溶けにくいってお判りいただけたかと思います。
融点が高いことによって耐熱性が優れており、酸化や変色もすることもなく、王水(硝酸と塩酸を混ぜた液体)以外では溶けなく、科学的にも安定しています。
そのため、自動車の触媒では宝飾品以上のシェア率を誇っており、その他には電気や化学、医療などにも使われています。
プラチナの魅力
プラチナの最大の魅力は、素材そのものが放つ白い輝きになります。
その輝きはキラキラに光るのではなく、深みのある輝きを感じさせてくれます。
前述の通りプラチナは酸化や変色することがないことから、汗や温泉の硫黄、プールの塩素など気にすることなく安心して身に付けることができ、長年使用したとしても磨くだけで輝きを取り戻すことができます。
それ以外にはプラチナは粘度が高い性質をもっています。
これにより、他の貴金属より細い細工や小さな細工などができることから、しっかりと宝石を留めることができ、尚且つ折れにくい特性も兼ねそろえています。
また、素材が白色であることから宝石を引き立たせることもできます。
例えば宝石の王様であるダイヤモンドであれば、どうしても金の場合、素材が黄金色であることから無色透明のダイヤモンドにはその素材の色が映り込んでしまうのですが、変色することのない白色のプラチナはダイヤモンドを永遠に引き立たせるのです。
この粘度の高い性質があるからこそ、「ハイジュエリー」という言葉ができたのではないでしょうか。
最後に
プラチナには3,000年以上の歴史があったのですね。
100年経った今でもプラチナとホワイトゴールドが混同され続けているのも不思議な話ですが、プラチナという鉱物が一つ一つ歩んできた歴史があったからこそ今人気の「ホワイトゴールド」を誕生させてくれたのでしょう。