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コラム

意外と身近な存在の銀(シルバー)の歴史・特徴・魅力


銀について

 

銀は日常の生活で色んなものに使用されている貴金属の中の一つです。 

たくさんある金属の中でも色は白く落ち着いた色合いで、とても美しい金属の光沢があります。 

今では若い年代のファッションを飾るアイテムとしても注目されており、全国にシルバーアクセサリー専門店ができるほど身近に感じることのできる貴金属になりました。

 

 

銀の歴史

 

古くは紀元前4,000年頃まで遡りすでに銀を造る技術があったとされ、紀元前3,000頃には宝飾品が造られていたとされています。 

紀元前2,500年頃には現在のアルメニアで灰吹法で鉱石から銀を抽出する技術が開発されました。 

 

では、日本にはいつ頃銀が広まったのでしょうか? 

日本では紀元前100年頃に朝鮮半島から広められましたが日本では全く普及しなかったようです。 

7世紀の天武天皇時代に国内から銀の発掘がされたようですが、ごくわずかだったため金のように多く使われることはなかったようです。 

 

室町時代(1336年~1573年)になると各地で銀山が発見され、1526年に貿易商の神谷寿禎(かみやじゅてい)が石見鉱山(島根県)を発見し、灰吹法による銀の現地精錬を成功させ、後にこの技法によって生野銀山や院内銀山などの開発も進み、日本は世界の3分の1ほどのシェアを持つほどとなりました。 

また、フランシスコ・ザビエルが母国(スペイン)に送ったとされる手紙には、日本が銀諸島である一文が記録されていたようで、中国にも銀の輸出していました。 

しかし、1500年代後半になると、スペインの植民地であったポトシ銀山(現ボリビア)が開発され、そこから発掘された銀はスペインを経由しヨーロッパ各地にもたらすと同時に中国貿易にも使われ、江戸時代に入り日本の生産力は衰えていきました。 

 

 

※精錬 

金属から不純物を取り除いて純度の高い貴金属を取り出す過程のこと。 

 

※灰吹法(はいふきほう) 

細かく砕いた鉱石を鉛に溶けこませ、金や銀と鉛の合金を作り、灰を敷いた鍋の中でその合金を熱すると、鉛だけが灰に溶けこみ、金や銀だけが残る製法

 

金より銀の方が価値があった!

 

銀より金の方が価値があるってご存じの方も多いのではないでしょうか。 

今ではオリンピックでも、金・銀・銅と順番が付けられ、その素材の価値を表しているようにも思います。 

 

かつて「銀」は「金」より価値があった時代がありました。 

古代エジプトでは銀の価値は金の2.5倍ほどと言われ、今では考えられませんが金の装飾品に銀メッキを施していたほどでした。 

中世ヨーロッパでもプラチナの倍以上の価値が付いた時代がありました。 

それが前述の通り、日本の石見銀山やボトシ銀山の銀が世界中で大量に出回り、結果として銀価格の低下をまねいたとされています。

 

 

銀の特徴

 

銀の融点は961.8℃で比重(水よりも何倍重いか)が10.5になり、金やプラチナと比較すると融点や比重が劣り、簡単に言ってしまえば火に溶けやすく軽く傷が付きやすい金属になります。 

また、数ある金属の中でも化学変化しやすく黒く変色することもあり、そのような経験をした方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。 

 

勘違いされがちですが黒く変色する原因は、鉄と同様に空気中の酸素と反応し酸化しているわけではありません。 

これは空気中に含まれている硫化化合物という目では分からない厄介者の存在なんです。 

硫化化合物の正体は、自動車の排ガスや温泉の硫化水素、自宅用の入浴剤、家庭用漂白剤、美容室で使うパーマ液、シリコンゴムの接着剤などにより、これらが銀の表面に反応し硫化膜が生成され黒く変色してしまうのです。 

この硫化化合物は目には見えませんが、何となくお分かりの方もいらっしゃるかと思いますが「匂い」という特徴を持っているので、それらを気を付けて使用・保存することができれば変色を防ぐことができます。 

 

その他には展延性(素材を切断せずに変形する限界)に優れている特徴もあり、1gの銀を2.2kmの線に伸ばすことができるのです。 

ただ、1gと言ってもちょっと分かりにくいですね。 

ぴったりとはいきませんが1円玉=1gと思っていただいても結構です。 

1円玉を切断させることなく2.2kmの線を伸ばすことができるのです。 

 

 

銀の魅力

 

銀は柔らかくてすぐにキズが付きやすく、使っていけば自然と黒ずんでしまう大きな欠点を持っています。 

それでは、なぜシルバーアクセサリー専門店ができたり、シルバーを使った食器などが人気なのでしょうか。 

 

それは銀から放たれる輝きで人々を魅了しているからです。 

銀は他の金属と比べても一番光の反射率が高く、製作段階の鏡面磨きをした後は白く輝き素晴らしいほど美しいのです。 

また、サビにくい性質も持っており手入れを定期的に行っていれば、その輝きをいつまでも保たれます。 

 

一方、厄介者の化学変化を生かした「いぶし加工」で重厚感のあるデザインを演出することもできるのです。 

例えば、谷間があるデザインならそこに「いぶし加工」を施し黒く陰影を出して奥行きや立体感を際立たせたり、特徴のあるデザインならあえて全体にいぶし加工を施し黒くすることによってアンティーク風に仕上げることもできるのです。 

しかし、シンプルなデザインのリングなどに「いぶし加工」すると、ただ輝きを失って黒くなってしまうだけになりますのでお気を付けください。 

「いぶし加工」は銀から放たれる輝きや華やかさは失われますが、それが逆に魅力的な金属に変貌し、多くの人を魅了し続けています。

 

 

最後に

 

銀大国として一時代を築いた日本もポトシ銀山(現ボリビア)の発見でその地位を失うことになりましたが、そこにはコロンブスのアメリカ大陸発見が大きな影響を与えていますね。 

もし、コロンブスが地球球体説を信用せず、ヨーロッパから東方向ではなく西方向に進んでもアジアに到達することを考えなかったら、そもそもアメリカ大陸の発見どころかポトシ銀山すら開発されていなく、銀の歴史は大きく変わっていたんじゃないでしょうか。 

 

金やプラチナと比較すると銀は性質や価値で劣る部分はありますが、素材の性質を逆手に取ってデメリット部分を生かすことのできる金属は銀だけであって、これからの時代も永遠に人々の心を癒してくれるでしょう。