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コラム

7月の誕生石!鮮やかな赤色のルビー


世界から愛される宝石の女王「ルビー」

華やかな赤いルビーは力強い色合いでエレガントにも見せてくれる世界四大宝石の一つに数えられ、希少性の高い宝石として多くの人に知られています。 

 

その赤色は、太陽のように真っ赤に輝いていることから、太陽のシンボルカラーとも言われ、世界各国で7月の誕生石となり、情熱的な輝きや美しさから古来より「宝石の女王」とも呼ばれてきています。 

 

 

ルビーの歴史

 

ルビーは宝石の中でも貴重な存在として古くから扱われてきた一つで、聖書の中では4度もルビーのことを言及されており、紀元前1世紀にはローマの博物学者プリニウスが地理学、天文学、動植物、鉱物を記述した自らの博物誌にルビーの硬度や密度を記載しています。 

 

また、古代インドの文化いおいて赤色の血液に類似していることからダイヤモンドよりルビーが貴重とされ、大切な人への贈り物として選ばれ、所有者は敵と平和に生きることができると信じていたようです。 

紀元600年からは、ビルマの戦士たちが無敵に戦えるようにルビーを持っていました。ただ、それだけでは効果がないということで、戦士たちは体内にルビーを挿入していたようです。 

 

中世時代(おおよそ西暦500~1500年)に入り、トルマリンやガーネットなど赤い宝石全てがルビーとして呼ばれていました。それは18世紀ルビーと他の宝石が全く異なった鉱物であることがわかるまで続いたと言われています。

 

 

ルビーの原産地

 

ルビーの原産地としては、ミャンマー、ベトナム、タイ、スリランカ、カンボジア、マダガスカル、タンザニア、モザンビークなどが主となります。 

その中でもミャンマー産のルビーは「ピジョン・ブラッド(ハトの血)」と呼ばれる最高級のルビーが採掘でき、世界的にも評価され、主にモゴック地方の鉱山で採掘されるとされ、美しい濃さを有することで、驚くほど高値で取引が行われています。しかし、全てが「ピジョン・ブラッド(ハトの血)」と呼ばれる最高級のルビーが採掘できるわけでもなく、モゴック地方でも奇跡的な確率でしか採掘できないのです。 

 

 

ルビーの鉱物名

 

華やかな赤色が印象的なルビーと9月の誕生石である純粋な青色のサファイアは全く色も異なり違う宝石に思われますが、実はルビーもサファイアも「コランダム」という同じ鉱物に属しています。 

 

コランダムは純粋であれば無色の鉱物で、高い屈折率で強い輝きを放ちますが、宝石の用途ではあまり用いられることはありません。しかし「コランダム」に、ある種の不純物を微量取り込むことにって様々な美しい色へと発色し、「クロム」という元素を1%ほど含むと赤色のルビーになるのです。 

この「クロム」の量が0.1%ほどでしたら、ルビーにはならずピンクサファイアとなり、逆に1%以上の量になると色合いが濃い赤から黒っぽくなり、5%以上含むと価値がなくなり、一般的には工業用の用途として使われます。 

要は、同じ鉱物であっても色の違いで赤色はルビー、その他の色は「サファイア」として定められているのです。 

 

 

ルビーの価値

 

今や高額な宝石はダイヤモンドに限らずたくさん存在し、ルビーに関しても高額で取引されています。 

そんな中、ルビーはダイヤモンドを超えると言われているほど希少性がある宝石の一つになります。 

ただ、全てのルビーが高額で希少性があるわけではありません。 

 

では、高額であり希少性のあるルビーとはいったいどんな条件のものなのでしょうか? 

まず、前述の通り「ピジョン・ブラッド(ハトの血)」と呼ばれる美しい濃さを有したものが最高峰とされ、基本的には「カラー(色)」「クラリティ(透明度)」「カラット(重さ)」の3要素で決まり、その中でも最も重要視されるのは「カラー(色)」で深みのある美しい赤みは価値を高くします。 

しかし、深みがあっても黒ずんでいるような色になってしまうと価値を下げてしまうことになります。 

 

 

ルビーの特徴

 

「クロム」の発色によって誕生するルビーは地中深くで何百年かけ色んな影響を受けながら形成されますので、小さなインクルージョンが存在しています。ただ、そのインクルージョンは天然であることを証明するのでもあるので、決してルビーの欠点になるわけではありません。 

 

また、ルビーは硬度が高い宝石として知られています。 

以前、耐久性についてお話ししましたが、鉱物の中でダイヤモンドが硬度「10」で最も高く、ルビーは硬度「9」でダイヤモンドにはやや劣りますが、宝石の中でも硬度の高い宝石に該当します。 

そして、靭性は「8」とされ、ダイヤモンドの「7.5」を上回っています。 

化学物質や熱、光線に対しての安定性も高いとされていますので、総合的にみてもダイヤモンドに近しい耐久性を持っている宝石と言ってもいいでしょう。 

 

 

ルビーの取り扱い

 

ダイヤモンドの次に硬度が高いとされているルビーは靭性も高く、安定性もありますので、普段身に付けていても割れたり欠けたりすることもなければ、変色や腐蝕することもないでしょう。 

 

保管については出来る限り他の宝石とは別々に保管することをオススメします。 

硬度が高くて強い宝石であるため、他のジュエリーに留まっている宝石と擦れ合うと、その宝石にキズが入ることがあるのです。 

 

洗浄は基本的に超音波洗浄機を使用しても問題はありませんが、ルビーそのものに特殊な加工が施されている場合もありますので、普段から大切に扱い、定期的に温かい石鹸水で優しく洗浄したり柔らかい布なので優しく拭くようにするのが安全です。

 

 

最後に

 

ルビーはサファイアと同じ鉱物であって、そこに混ざり合う不純物の量や何百年という時間をかけてルビーという宝石が誕生することが分かったかと思います。 

そして、意外にもダイヤモンドに近しい耐久性が高く強い宝石であることも理解できたのではないでしょうか。 

 

ルビーは中世ヨーロッパから「危険から身を守ってくれる石」として信じてこられていますので、そこには何百年もかけ形成される姿に生命力を感じたのでしょう。 

また、人々を惹きつけてきた最大の魅力は、耐久性の高さに力強さを感じさせるパワーがあったからではないでしょうか。