3月の代表的な誕生石であるアクアマリン。
その名の通り海とかかわりが深そうな宝石でもあり、澄みきった青色は海の色と同じで、海に入れてしまうと消えてしまいそうです。
数ある青色の宝石の中でも人気を誇っているアクアマリンには、きっと人々を惹きつける魅力が宿っているからでしょう。
アクアマリンの歴史
アクアマリンの名付けはおおよそ2000年前だと言われています。
古代ローマ人が、ラテン語のアクア=「水」、マリン=「海」を意味し名付けられました。
古代ローマ人は神聖な宝石としてアクアマリンを重宝していました。
澄みきった青色のアクアマリンが、海の神ネプトゥヌス(古代ギリシャではポセイドンと呼ばれています)との繋がりがあると信じていた船員たちが、航海中に出会う海の魔物やその他の危険から身を守ってくれると信じ航海に出ていたようで非常に人気がありました。
中世ヨーロッパではアクアマリンのことを‟夜の女王”と呼ばれていたことがありました。
アクアマリンが夜の照明の下、キラキラと輝くことから夜会用のジュエリーとして使われることがあり、貴婦人から人気があったからそうです。
18世紀フランス国王ルイ16世の王妃マリー・アントワネットはダイヤモンドとアクアマリンをこよなく愛したとも言われています。
アクアマリンの原産地
アクアマリンの主な原産地はブラジル、ナイジェリア、モザンビーク、パキスタン、スリランカ、インド、マダガスカル、アフガニスタンなどが挙げられます。
この数十年はブラジル産のアクアマリンが上質で、産出量も多く有名でしたが、最近になってナイジェリアやモザンビーク、マダガスカルといったアフリカ諸国でも上質なアクアマリンが多く採掘されるようになりました。
アクアマリンの鉱物名
アクアマリンはエメラルドやモルガナイトなどと同じ鉱物であるベリルになります。
ベリルの結晶に鉄分が含まれると透き通った青色のアクアマリンとなり、クロムやパナジウムが混ざれば緑色のエメラルド、マンガンが混ざればピンク色のモルガナイトになります。
しかし、採掘されたばかりのアクアマリンのほとんどが、緑色もしくは褐色がかった色が含まれていることがあり、この色味を取り除くために‟加熱処理”されることが一般的です。
この加熱処理とは、ほとんどの宝石に施されている加工のひとつになります。
鉱物は地中に埋まっている際、火山のマグマによって熱されるものもあれば、熱されないものも存在し、その熱によって変色されなかったものを人工的に熱処理しているのです。
これを‟エンハンスメント”と言い、宝石が本来もつ性質を最大限に高める工程として、最小限の加工処理として定義されています。
アクアマリンの価値
アクアマリンは、「カラー」「クラリティ」「カット」「カラット(重さ)」を総合的に判断して価値が決定されます。
カラーは多くのアクアマリンで見受けられる緑がかった青色の評価はそこまで高いものではなく、透き通った濃い青色であるほど評価が高いとされています。
クラリティは内包物が少ない方が評価され、評価が下がるごとに内包物が見受けられたり、更に評価が下がると透明度が失われ濁っているものになります。
カットはアクアマリンの美しい輝きを引き出されたものが評価が高く、カラット(重さ)は小さいものから大きいものまで様々で一般的には大きいものが評価はされるものの、アクアマリンの大きな原石は容易に手に入ると言われていますので、あまりにも大きくなると、カラット単価としては価値は落ちます。
アクアマリンの特徴や取り扱い
前述の通りアクアマリンもエメラルドも同じ鉱物であるベリルになります。
ただ、同じベリルであっても、全く異なった特徴を持っています。
それは、内包物が多いエメラルドに対してアクアマリンは内包部が少ないこと。
また、靭性が5.5のエメラルドに対し、アクアマリンは7.5で同じベリル族であっても、靭性には優れている宝石なのです。
ちなみに、アクアマリンもエメラルドも硬度は同じ7.5になります。
アクアマリンは硬度も高く耐久性に優れている宝石の一種になります。
そのため、普段身に着けていても比較的キズもつきにくく気軽に使用できます。
お手入れの方法は、ぬるま湯に中性洗剤を泡立て、毛先の柔らかい歯ブラシなどを使って洗い流します。終わりましたらぬるま湯で洗い落として、柔らかい布などで拭きとってください。
超音波洗浄機でのクリーニングも可能ですが、宝石が液体インクルージョン(2種類の混ざり合わない非混合液体が混在)やフラクチャー(割れ)を有していないことが前提では問題ありません。しかし、その判断も難しいので、洗浄する際は前者のクリーニング方法をオススメします。
最後に
アクアマリンは、エメラルドと同じ鉱物の「ベリル」からできている貴重な宝石で、澄みきった青色や名前からして人々の不安や恐怖をすべて洗い流し、人々の心を落ち着かせてくれそうですね。
また、「幸せな結婚」を象徴するとも言われていますので、子宝に恵まれたり、結婚を控えている女性などには重宝する宝石のひとつになるでしょう。