紀元前1,200年頃の古代エジプトで金箔はすでに製造が始まっていたのではと考えられています。
日本の金箔生産地は石川県金沢市が99%以上を占めており、海外ではドイツ、フランス、イタリア、中国、タイ、ミャンマー、インドでも製造されています。
そもそも金箔は純金でできているのでしょうか。
またどんな用途があるのでしょうか。
今回は「金箔」についてご紹介したいと思います。
そもそも金箔ってなに?
皆さんは金箔とはどんなものだと思いますか?
金の塊を叩いてペラペラにしたもので、純金でできていると思っている方が多いかと思われます。
しかし金箔は、純金のものもあれば金、銀、銅の合金でできているものあります。
厚みは約0.1~0.3ミクロン(0.0001~0.0003㎜)という薄さで、10円玉半分にした量で畳一枚分まで延ばすことができると言われています。
規格のサイズは1寸=30.3mmとして、109㎜角(3寸6分)、127㎜角(4寸2分)が基本サイズで、158㎜角(5寸2分)、212㎜角(7寸2分)などのサイズもあります。
製法は「縁付(えんつけ)」「断切(たちきり)」の2種類があり金、銀、銅の含有率によってさらにいくつかの種類にわけられます。
では、「縁付」「断切」の製法とはどのような違いがあり、どのような種類にわけられているのでしょう?
製法の種類
・縁付(えんつけ)
400年もの歴史をもち箔打紙(はくうちし)という特殊な液体をしみ込ませた和紙に挟んで打ち伸ばし、既定の大きさにカットする製法です。
この箔打紙はさまざまな工程を経て、金箔が打てるようになるまで3か月~半年と言われ手間と時間がかかります。
それは、「箔打紙で金箔の品質が決定する」と言われており、職人が手間ひまかけて作られているからです。
また、箔打紙は「ふるや紙」と呼ばれ、高級あぶらとり紙として使用・販売されています。
・断切(たちきり)
昭和40年代~50年代にかけ金箔需要が増えたことによって誕生した製法です。
グラシン紙という洋紙で叩いて伸ばします。
その後、不定形の金箔を切らずに、大きな和紙と交互に重ねた状態で数百枚をまとめて既定の大きさに一気に裁断する製法です。
1枚1枚丁寧に裁断する縁付とは違い、量産できる製法として今では多くの金箔がこの断切によって作られています。
どちらも叩いて伸ばしますが、縁付の方が薄くて柔らかく落ち着いた金箔になります。
ただ、手間と時間がかかるため金額は高価です。
断切は縁付よりわずかに厚く、色紙のような金色をしています。
金額面では縁付に比べて安価です。
金箔の種類
・純金(じゅんきん)
金の純度は24金(純金99.99%)
・五毛色(ごもうしょく)
金の純度は23.7金(純金98.91%/純銀0.49%/純銅0.59%)
・一号色(いちごうしょく)
金の純度は23.4金(純金97.66%/純銀/1.35%/純銅0.97%)
・二号色(にごうしょく)
金の純度は23.2金(純金96.72%/純銀/2.60%/純銅0.67%)
・三号色(さんごうしょく)
金の純度は23金(純金95.79%/純銀3.53%/純銅0.67%)
・四号色(よんごうしょく)
金の純度は22.7金(純金94.43%/純銀4.90%/純銅0.66%)
・三歩色(さんぶしょく)
金の純度は18.1金(純金75.53%/純銀24.46%)
・定色(さだいろ)
金の純度は14金(純金58.68%/純銀41.31%)
上記以外にもさまざまな種類があります。
また、ホワイトゴールド箔やプラチナ箔、銀箔、赤や青など着色した銀箔を製造・販売しているところもあります。
金箔の用途
用途として真っ先に思い浮かべるのは、仏像や金閣寺ではないでしょうか。
金箔はさまざまな分野で使用されており、タンスや屏風など家具類、漆器などの工芸品、料理、美容用品にも使われています。
金閣寺(鹿苑寺)
京都で有名なお寺のひとつ金閣寺。
舎利殿の金閣が有名なため金閣寺と呼ばれていますが、正式名称は鹿苑寺(ろくおんじ)と言い修学旅行や観光で訪れた方も多いのではないでしょうか。
金閣寺は神殿造・武家造・禅宗仏殿造の3層構造になっており、2層目と3層目に金箔が貼られています。
現在の金閣寺は1986年2月から1987年9月にかけ張替えを行っており、厚さ0.00045㎜~0.00055㎜、大きさ10.8㎝四方、枚数約20万枚、金の重さでいうと約20Kgもの金が使用されています。
食用に使われている
お正月やお祝いの席で金箔入りのお酒を飲んだ方も多いかと思われます。
日本の主な生産地である金沢では、金箔をのせたソフトクリームやカステラ、チョコレート、ようかん、お寿司などさまざまな料理を提供しているお店があり、今ではインターネットで取り寄せることもできます。
しかし、食べたり飲んだりして体に影響がないのか不安を感じている方もいらっしゃるでしょう。
結論から申し上げますと、金は体内で吸収されることがないので人体に影響が出ない安全な物質で、厚生労働省より食品添加物として認められている食品になっています。
また、食用に使用されている金箔は四号色以上と定められているのですが、多くの食用には銅を使っていません。
銅は体内に溜まると有害なので、銅が使われているか確認するとより安心です。
美容にも使われている
クレオパトラや楊貴妃など太古の昔から美容目的で使われていたとされています。
フェイスマスク、ボディローション、ボディシャンプー、化粧水、石鹸などがあり、エステにも使用されています。
金は酸化しないので抗酸化力が高く、健康や美容に優れており、金が持つ微弱電流が肌の免疫力を活性化、金から出るマイナスイオンが肌のターンオーバーを活性化させ、紫外線から肌を守る、肌にハリを与える、保湿力にすぐれ乾燥から守るなどの効果があります。
最後に
これまでにご紹介した用途以外にも、Tシャツやジーンズにプリント加工をしたり、ネイルでも使用され、金箔を貼ったゴルフボールやサーフボードなどオーダーメイドで作ることもでき、実にさまざまな用途があります。
金箔を作る際に使用していた箔打紙があぶらとり紙になるとは知りませんでした。
もしかしたら知らない内に使っているかもしれませんね。
気軽に旅行ができるようになったら、金沢で金箔をのせたスイーツを食べたり、金箔貼り体験をしながら金箔の歴史などに触れてみるのもいいかもしれませんね。