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貴金属や宝石の単位「カラット」「トロイオンス」「もんめ」とは?


金や真珠のネックレスと金貨

 

物体の重さを表す重量単位はグラム(g)キログラム(kg)で、飲料などの液体を表す単位はミリリットル(ml)リットル(ℓ)がよく使われています。 

そのため、ほとんどの人は、この単位を理解されているかと思われます。 

貴金属や宝石業界ではグラム(g)やキログラム(kg)以外に、特殊な単位として「カラット」「トロイオンス」「もんめ」という言葉が使われることがあります。 

なんとなく聞いたことがあっても、具体的にすべて説明できる人は意外と少ないと思われます。 

そこで今回は「カラット」「トロイオンス」「もんめ」の単位について紹介していきます。

 

 

宝石のカラットとは

光り輝くさまざまな宝石

 

「カラット」「トロイオンス」「もんめ」の中でも一番多く耳にする単位は「カラット」になるでしょう。 

例え、宝石をお持ちでない人であっても、一度は「カラット」という言葉を聞いた人も多く、そのほとんどの人は「カラット」=「大きさ」で認識されています。 

ただ、宝石に使われるカラットは「重さ」の単位を表しています。 

1カラット=0.2gで定義されており、一般的に数値が大きくなればなるほど、宝石の価値が上がっていきます。 

スペルは「Carat」と書かれ、単位記号は「ct」や「car」が使われています。 

ただし、「car」は計量法では認められていないため、一般的には「ct」が使われるケースが多いです。 

また、ダイヤモンドだけに使われている単位だと思われがちですが、ダイヤモンドに限らずほぼ全ての宝石に使われています。

 

 

カラットと大きさの関係

大きさの異なるダイヤモンド

 

同じ重さであれば、同じ大きさになると思われる方もいらっしゃいますが、そこには大きな落とし穴が存在していますので理解しておく必要があります。 

 

宝石によって比重値(1立法センチメートルの物質の重さ)は異なるものの、そのほとんどの宝石が2~4の範囲で収まっています。 

しかし、琥珀(アンバー)という宝石は水に浮く宝石と言われており、比重は1.05しかありません。 

仮に、比重が3の宝石と1.05の琥珀(アンバー)を比較すると、同じ「重さ」であっても「大きさ」は3倍近く変わってきます。 

 

さらに、同じカラットであるダイヤモンドでも、カット技法によって大きさの見え方が変わることがあります。 

大多数の人は宝飾品に飾られたダイヤモンドを上から見ることはあっても、側面を見る機会は少ないと思われます。 

この場合、同じカラットであっても縦長になれば上から覗くと直径が短くなりダイヤモンドが小さく見え、逆に横広であれば直径が長くなりダイヤモンドが大きく見えます。 

仮にカラットが大きかったとしても形の悪いダイヤモンドであることから評価は非常に低くなります。 

ダイヤモンドを購入される際カラットを重要視される方が多いですが、4Cの中でもカット技法が重要な役割を果たしているのは、このような理由があるからです。

 

 

カラットは宝石だけではない

秤の乗せた金のインゴット

 

宝石の重さを表す「Carat」に対し、金の純度を表す「Karat」もあります。 

金をアルファベット表記すると「KIN」になることから、K18(18金)のKは金のことを表していると思っている方もいますが、あくまでもこのKは「Karat」のことを指しています。 

そのため、K18(18金)のことを18カラットとも呼びます。 

また、宝石の「Carat」と金の「Karat」はどちらもカラットと読みますが、「Carat」をキャラットと表現されることもあります。

 

 

カラットの語源

0.2gのいなごまめ

 

カラットの語源は紀元前時代の古代インドまで遡ります。 

当時、天秤で重量を量るとき、今でいう正確な分銅がありませんでした。 

そのため、イナゴ豆と言われるカカオ豆に似た植物がサヤの中の位置に関係なくほぼ実の重さ(1粒=0.2g)が同じであったことから、分銅の役割として使われていました。 

このイナゴ豆は古代ギリシャ語で「keration」と言われ、これがカラットの語源となっています。

 

 

金貨の重量を表すトロイオンスとは

1オンスの金貨

 

貴金属の売却をされた方でしたら「1グラム〇〇〇円」という言葉を聞いたことがあるかと思われます。 

基本的にグラム単位で取引されますので、ごく普通のことです。 

 

しかし、金貨の重量を表す場合は「トロイオンス」と表現されます。 

1トロイオンスは31.1035グラムと定められており記号は「toz」と表記され、略して「オンス(oz)」と呼ばれることが一般的です。 

日本の計量法では、金貨の重量だけに使用が認められており、金貨以外でこの単位が使われることはありません。 

 

釣りをよくされる方でしたら、ルアーやオモリで「オンス(oz)」が使われていますが、この場合は28.3495gで定められており金貨の重量とは異なります。

 

 

トロイオンスの語源

 

トロイオンスの「オンス」は主にアメリカで使われている重量単位になります。 

この他にも、重さの単位を表す「ポンド」もあります。 

では、なぜ「トロイオンス」と呼ばれるようになったのでしょう? 

 

トロイオンスのトロイはフランスのシャンパーニュ地方に位置するトロワ(Troyes)という地域が由来とされています。 

トロワ(Troyes)を英語に発音して、トロイと呼んだそうです。 

シャンパーニュ地方はセーヌ川の支流でパリとも結ばれており、他2本の河川にも囲まれていたため、中世ヨーロッパでは船による輸送がメインであったことから、市場に発展する条件が整ってました。 

これにより、主要都市であったトロワに多くの外来商人が自由に交易を行うことができました。 

それと同時に各地域の金貨や銀貨が流れ込みます。 

ただ、その地域によって取引単位が異なることから共通単位が必要で「トロイオンス」が取り入れられたそうです。

 

 

真珠のもんめとは

照りの美しい真珠

 

一般的に宝石は「カラット」で重さを表しますが、真珠に限っては日本独自の単位である「もんめ」が使われています。 

なぜなら、日本が世界で初めて真珠の養殖に成功した国であるからです。 

漢字で「匁」と書き、英語表記にすると「Momme」で、略して「Mom」になります。 

カラットやトロイオンスと同じく計量法で認められており、世界共通の単位として1もんめ(匁)=3.75gになっています。 

しかし、「もんめ」はあくまでも業者間で取引される際に使われることが多く、ショップなどに並んでいる真珠は珠の直径を「ミリ」単位で説明することが一般的です。 

 

ちなみに皆さんがお持ちの5円玉の重さは1もんめ(匁)である3.75gになっています。 

表面には、日本が誇る稲穂、複数の水平線で表している水が表しています。 

そして、真ん中に真珠を連想させるような穴がくり抜かれています。 

そのため、真珠の単位である1もんめ(匁)の重さにしていると思われている方もいらっしゃるようです。 

ただ、穴の周囲は歯車上になっており、これは工業を表し、稲穂は農業、水は水産業を表しているので、残念ながら絵柄とは全く関係性はないようです。

 

 

最後に

 

物を数えるときは一般的に「1個・2個・3個」「ひとつ・ふたつ・みっつ」と数え、陸に生息する動物であれば、「匹」「頭」「羽」、海に生息している動物は「尾」「杯」「枚」と数えられ、それぞれのジャンルごとに単位は異なり、今回ご紹介した「カラット」「トロイオンス」「もんめ」は宝石業界で使われ続けてきた単位でありました。 

それぞれの分野ごとにさまざまなルールに乗っ取って単位が使われており、それを昔から正しく使われてきたからこそ生き残ってきた単位であり、これからの未来も引き継がれていくこととなるでしょう。