古代より世界各地でダイヤモンドやルビー、サファイア、エメラルドなど多くの宝石が採掘され、どの時代においても人々を魅了し、その身を華やかに、そして煌びやかに見せる宝飾品だけでなく、お守りや儀式、薬などにも用いられてきました。
宝石にはさまざまな種類もあれば、それぞれの宝石でも色や産地によっての特徴、品質が異なり、どれひとつとっても同じものが存在せず、僅かながら違いがあります。
ただ、大きさについては採掘される場所によって想像を超える大きさの宝石が採掘されることもあります。
そこで今回は少し趣向を変え、現在判明している世界で一番大きな原石やカット済みの名の知れた宝石のみを抜粋してご紹介していきます。
目次
世界最大のダイヤモンド
カットダイヤモンド
現在、世界で一番大きいカット済みのダイヤモンドは、タイ王室が所有している545.67カラット(109.13g)の「ザ・ゴールデン・ジュビリー」というダイヤモンドです。
カットは六角形の形をしたファイアー・ローズ・クッション。
カラーはオレンジがかったブラウンでファンシー・イエロー・ブラウン。
1985年に南アフリカのプレミア鉱山(現カリナン鉱山)で発見され、原石の大きさは755.5カラットでリンゴほどの大きさです。
研磨士のガビ・トルコフスキー氏よってカットされました。
1997年タイ国王ラーマ9世の治世50周年を記念しタイ王室に献上されており、50周年を英語でゴールデン・ジュビリーということから名前が付けられました。
ダイヤモンド原石
これまでのダイヤモンドの歴史の中でもっとも大きな原石は、1905年南アフリカの現カリナン鉱山で発掘された、3106.75カラット(621.4g)もある「カリナン」です。
カリナンは、オランダのアムステルダムにあるアッシャー社によって9つの大きなダイヤモンドと96個の小さなダイヤモンドにカットされました。
9つのダイヤモンドはカリナンⅠ~カリナンⅨと名前が付けられ、カリナンⅠは530.20カラット(106g)と世界2番目の大きさで、ロンドン塔で永久展示されています。
ちなみに推定価格は440億円と言われています。
世界最大のエメラルド
世界最大のカットエメラルドはブラジルで発見された57,500カラット(11.5㎏)もある「テオドラ」と呼ばれているエメラルドになります。
カットして削られたにもかかわらず、両手で抱えるほどの大きさです。
しかし、透明度が低いこともあって推定価格は9,000万程度と言われています。
このエメラルド、宝石鑑定士の鑑定によると疑問が残るそうで、世界最大のエメラルドと確定できないとの声もあるようです。
また、「バヒアエメラルド」というエメラルド原石も存在します。
重さは、なんと381kgもあり非常に巨大なものです。
2001年ブラジル東部バヒア州で発見されたことから名付けられ、エメラルド原石の価値は400億円にもなるそうです。
ただこのエメラルドをめぐり、所有権争いが勃発しています。
そのきっかけは採掘者1人の電話から始まります。
カリフォルニアに住む知人に連絡した後に、知人はアメリカ人とすぐさまブラジルに駆け付け、二人はエメラルドを大変気に入り、アメリカへ密輸を行います。
その後、さまざまな人物の元を渡り、ある日ロサンゼルスで保管中に盗難被害に遭います。
それが報道されると、多くの人が所有権を主張したのです。
その結果として、多くの争いが勃発し、放火事件、誘拐事件、多額の裁判費用による破産など・・・
次々と不吉な出来事が起こり、大きさや価値だけではなく、呪われたエメラルドとしても有名となっています。
世界最大のサファイア
世界最大のサファイアは大きさが31,308カラット(6.2㎏)ある「オフィールサファイア」です。
このオフィールサファイアはギネス世界記録に認定されており、ディナープレートほどのサイズをしています。
そのほかには、彫刻品に仕上げた「ザ・ミレニアム」と呼ばれるサファイアです。
1995年にマダガスカルで採掘された約90,000カラット(約17.9㎏)もある原石にイタリアのアーティストがデザインし、3人の職人によって2年の歳月をかけてカットと彫刻が施されました。
彫刻には134のテーマが込められており、ギザの大ピラミッドや万里の長城などの世界遺産や、アインシュタインやモーツアルトなどの歴史上の人物などが彫刻されています。
細かい細工が施されており、推定金額で200億円ほどになります。
世界最大のルビー
1950年アフリカで採掘された「リバティベル・ルビー」が最大とされています。
アメリカ合衆国ペンシルベニア州フィラデルフィアにある自由の鐘をモデルにカットされた彫刻品ルビーで、50個のダイヤモンドがはめ込まれています。
85,000カラットもの大きさがあり、価値にすると2億円以上になります。
しかし、このリバティベル・ルビーは米デラウエア州の宝飾店で保管されていましたが、2011年に盗まれてしまいます。
2014年に4人の男性が強盗容疑で逮捕されたものの、未だに戻ってきていません。
世界最大のルビー原石として有名なのが「125ウエストルビー」と呼ばれる原石で、GIAで鑑定されており18,696カラット(約3.73㎏)、サイズは12.20×12.90×11.5㎝。
半透明から不透明でカボションカットにした場合、6条のスター効果が出ると言われています。
世界最大のアクアマリン
世界最大のカットされたアクアマリンは、古代エジプトの太陽の神を象徴するオベリスクをイメージした形状をしています。
10,363カラット(2.07㎏)もの大きさがあり、高さ35㎝、幅10㎝の「ザ・ドム・ペドロ・アクアマリン」です。
名前の由来はブラジルの皇帝ペドロ1世とペドロ2世ににちなんで付けられました。
元々の原石は1980年頃にブラジルのミナスジェイラス州ペアラズールにある鉱山で採掘され、原石は長さ91㎝、重さ45㎏もありましたが、採掘者があやまって落としてしまい3つに割れてしまったそうです。
その後1993年、ドイツの研磨士ベルンド・ムーンシュタイナーによってカットされました。
現在、ザ・ドム・ペドロ・アクアマリンはアメリカのスミソニアン博物館に展示されています。
価値は不明とのことです。
世界最大のトパーズ
カットされた世界最大級のトパーズは9,381カラット(約2Kg )もある「オストロ・ブルートパーズ」と呼ばれるブルートパーズです。
原石は1986年ブラジルのミナスジェイラス州で、探検家のマックス・オストロ氏によって発見されましたが、それから30年間誰の目にも触れず金庫に保管していたようです。
その後、英国の企業家でも慈善家でもある息子のモーリス・オストロ氏から、ロンドンの自然博物館に無期限で貸し出され展示しています。
原石の価値は残念ながら明らかにはされていません。
世界最大の真珠
世界最大の真珠は、フィリピンのパラワン島沖で発見された、長さ67㎝、幅30㎝、重さ34Kgあるいびつな形をした真珠で、その価値は日本円で約108億円もするそうです。
この真珠はオオシャコガイという貝から採れたのですが、シャコガイからはほとんど真珠が採れません。
発見したのは地元の漁師さん。
漁師さんは発見した当時、幸運のお守りとしてベッドの下に大事にしまっていたそうです。
しかし、漁師さんの住む小屋が火事になり巨大真珠は日の目を浴びることになります。
現在はフィリピンのパラワン島プエルト・プリンセサにある、ニューグリーン市役所で展示されています。
最後に
世界にはびっくりするほど大きな原石やカットされた宝石があることがわかりましたが、もしかすると採掘されカットが施されているものの、日の目を浴びていない世界最大の宝石が隠されているかもしれませんね。
また、今後の採掘技術が発展すれば、さらに大きな原石が採掘される日が来ることでしょう。
そこには過去に起きたような悲劇は繰り返されず、一部の人間のみならず多くの人々に色石の魅力を世界に発信していただきたいものです。
今回ご紹介した原石や宝石の多くは展示されているため、現地に行けば見ることができるので、機会があればぜひ見に行ってください。