本来なら今頃オリンピックが開催され、日本国内にとどまらず全世界で大いに賑わっていましたが、世界的なコロナ感染の影響によって1年先延ばしになったのは非常に残念です。
オリンピックの歴史上初の延期になりましたが、1年後には無事開催され、今までにはないような盛り上がりをしてほしいです。
ところで、オリンピックって聞くと、真っ先に何を思い浮かべますか?
陸上競技、野球、ソフトボール、サッカーなど競技を思い浮かべる人もいれば、選手が目指す悲願の「金メダル」を思い浮かべる人も多いかと思われます。
実は、この「金メダル」は銀(シルバー)で作られているのです。
私も以前までは純金だと信じていましたが、同じように信じていた方も多いのではないでしょうか。
金メダル・銀メダル・銅メダルと呼ばれるくらいなので、金メダルには純金は使ってほしいところです。
もちろん、そこにはきっちりした理由あり、皆さんもご理解ができるかと思います。
オリンピックメダルの規定要件
オリンピックのメダルの規定要件は、国際オリンピック委員会によって規定されており、メダルの大きさや厚さ、重さ、素材、カタチ、リボンなど定められています。
素材の規定は、1位の金メダル・2位の銀メダルは銀製で、少なくても92.5%以上の銀を使用し、1位の金メダルには6g以上の純金で金張りすることとされています。
大きさは直径で70mm~120mm、厚さは3mm~10mm、重さは500g~800g、カタチは丸型と決められています。
では、なぜ金メダルに銀が使われているかというと、夏季オリンピックや冬季オリンピックはご存じの通り4年に1度の世界の祭典になります。
この祭典には世界のあらゆる国が参加し、更には開催国となることを目的にしています。
開催国になれば競技場であったり、選手村などの莫大な建設費用もかかってきます。
そこで開催国が先進国に限ったことではないので、経済的に不利がないようにと考えられたのです。
銅メダルの素材の規定は?
金メダルと銀メダルの素材が銀であることが分かりましたが、銅メダルも同じく銀なのでしょうか?
銅メダルは、字のごとく「銅」で作られています。
ただ、純粋な100%銅ではなく、規定で銅97%に亜鉛やスズが3%となっています。
2021年の東京オリンピックでは銅に亜鉛を混ぜた丹銅というものが採用されています。
オリンピックメダルの歴史
オリンピックの各競技で1位「金メダル」、2位「銀メダル」、3位「銅メダル」を授与されることは当たり前でほとんどの方がご存じかと思われます。
しかし、過去のオリンピックでは今と異なることも多々あります。
1896年ギリシャのアテネで第1回目のオリンピック開催は行われました。
ただ、経済的な資金不足ということもあり、1位の選手に「金メダル」ではなく「銀メダル」とオリーブの花輪が授与されたのです。
1900年のフランスのパリ大会では、今では考えられませんがメダルの製造が間に合わなかったようで、その代替えとしてトロフィーが渡されたようです。実際には2年後に選手のもとに届いたとされていますが、かなり衝撃な話になりますね。
また、このパリ大会では、丸型ではなく長方形のカタチをしていたようです。
その後、1904年アメリカのセントルイス、1908年イギリスのロンドン、1912年スウェーデンのストックホルムまでは純金の「金メダル」が授与されていたそうです。
2003年にようやく現在の規格条件が定められ、メダルの仕様やデザインなどは、国際オリンピック委員会に提出し、事前に許可を得なければならないようになったようです。
ちなみに、選手が授与した金メダルを噛むパフォーマンスを見たことがある人も多いのではないでしょうか。
日本人選手でいえば、Qちゃんこと高橋尚子さんが印象的ですね。
この始まりは1988年の韓国のソウル大会で、競泳男子のオーストラリアの選手が始まりで、一説によると「金メダルが本物かどうかを確認したかった」ようです。
金メダルの貴金属としての価値は?
金メダルの貴金属としての価値ってどのくらいなのでしょうか?
規定要件を基に、重さが500gで、内6gの金が使用されていることを前提とします。
現在、金が7,200円、銀が85円になりますので、金の価格が43,200円、銀が41,990で、おおよそ85,000円ほどになります。
ただ、材料だけで価値は比較できるものではないのです。
貴金属として貴重な金属で作られていることには間違いなく、何よりお金に換えることのできない重い価値があるのです。
東京オリンピックのメダル
東京オリンピックのメダルは、大会初の試みで、皆さんが使用していたパソコンや携帯電話、小型家電から集めたもので作られています。
オリンピック組織委員会によると、2017年4月1日~2019年3月31日までの2年間で、約8万トンの小型家電と約621万台の携帯が寄せられたそうです。
この寄せられた小型家電や携帯から、金約32kg、銀約3,500kg、銅約2,200kgを回収し、その材料で東京オリンピックに授与される5,000個のメダルを作ることができたそうです。
最後に
オリンピックの5つの輪が重なり合っている五輪マークは「アジア」「ヨーロッパ」「アフリカ」「アメリカ」「オセアニア」の五大陸が世界中で繋がり合っていることを表していることはご存じかと思います。
ただ、メダルの素材に関しては、知らなかった人もいたかと思いますが、そこにはオリンピックであるがゆえの理由もお判りいただいたと思います。
初めての試みであるメダルや初めてであるオリンピック延期になる東京オリンピックでは歴史に残るようなドラマが生まれることになるでしょう。