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コラム

プラチナジュエリーに刻まれている刻印の種類について


プラチナジュエリーの刻印

 

社会人になると初めて入ったお給料やボーナスで多少の余裕ができます。

そこで今まで着けていたアクセサリーからワンランク上の指輪やネックレスを購入される方は少なくありません。

素材はゴールドやプラチナ、シルバーなど好みはありますが、着けたときの重厚感や上品な輝きを放つプラチナ素材は人気です。

しかし、プラチナ素材には複数の種類があり、詳しいことがよく分からなく、いざ購入するとなると悩んでしまうものです。

そこで今回は、プラチナジュエリーに刻まれている刻印の種類や特徴などについて紹介していきますので、購入される際は参考にしてみてください。

 

そもそもプラチナとは

 

プラチナはゴールドとは違い産出できる国が限られ、かつ産出量が少なく、ゴールドより希少性の高い素材とも言われています。

事実、今までに採掘されたゴールド190,000トンの産出量に対し、プラチナはおおよそ1/26の7,200トンほどです。

素材の色はみなさんもご存じの通り白い輝きを放っており、ジュエリーに留まっている宝石を引き立ててくれます。

融点が1,769℃と非常に高いことから耐久性に優れ、酸化や変色もなく化学的にも安定しており、自動車の触媒や電気、化学、医療など、さまざまな分野で活躍しています。

 

 

プラチナ刻印の種類と特徴

プラチナのジュエリー

 

指輪の内側やネックレスの留め具にプラチナの品位(純度)を表す刻印が刻まれています。

一般的には以下プラチナの元素記号である「Pt」に数字を組み合わせています。

 

 

Pt1000

 

プラチナの純度は1000分率で表記されます。

そのため、「Pt1000」刻印は1000/1000で100%の純プラチナという意味になります。

ただ、純プラチナは純金同様に柔らかく高度な加工技術が求められる上、たとえジュエリー製品が仕上がったとしても、柔らかいゆえにすぐ傷付いたり歪んでしまうことがあります。

また、プラチナらしい白い輝きが弱く、少し黒みを帯びた白色をしています。

そのような理由からアクセサリーには不向きな品位で、ジュエリーとして使われることはほとんどなく、コインやインゴットで使われることが主です。

 

 

Pt999

 

「Pt999」も純プラチナの品位刻印です。

要は「Pt1000」「Pt999」どちらも同じ意味になります。

といっても、なぜ2つの刻印が混在しているのか気になるところです。

実は、100%という金属は化学的に存在しないことから純プラチナは100%ではなく、正確にいえば純度999/1000で99.9%だったのです。

このことはジュエリー業界や造幣局では認識されつつも曖昧なまま、あたかも純プラチナであるかのように「Pt1000」で刻印されることが当たり前となっていました。

ところが、2012年4月に造幣局が本来の純度99.9%である「Pt999」に変わると発表したのです。

それ以降、造幣局の厳しい検査を行ったものは「Pt999」という刻印が打たれています。

ただし、造幣局の検査を行っていない製品の中には、いまだ「Pt1000」と打たれていることもあるようです。

 

 

Pt950

 

「Pt950」刻印は950/1000で95%のプラチナ素材が使用されています。

残りの5%には製品の強度を高めるためパラジウムやルテニウムといった金属が混ぜられていますが、後述する品位と比較すると物足りなさを感じる強度です。

日本では主に婚約指輪や結婚指輪の素材として使用され、海外ではブランドジュエリーなどによく使われている品位です。

 

 

Pt900

 

「Pt900」刻印は900/1000で90%のプラチナ素材が使用されています。

パラジウムやルテニウム、シルバー、ニッケルなどの割金(特定の金属に混ぜるほかの金属)を10%使っているので強度があり、細かなデザインに加工することができる上、傷が付きにくいです。

そのため、指輪やペンダントトップ、ブローチなど多くのジュエリー製品に使われており、もっとも流通量が多い品位になっています。

 

 

Pt850

 

「Pt850」刻印は850/1000で85%のプラチナ素材が使用されています。

同じく他の金属である割金を15%含んでいるため強度はさらに増します。

その多くはネックレスやブレスレットで、チェーンの切れや変形を防ぐためです。

また、パラジウムやルテニウムを混ぜることによって、より白い金属になるため、他の品位に比べ白色が目立つ品位になります。

 

 

Pt100

 

「Pt100」刻印は100/1000で10%のプラチナ素材が使用されています。

よく100%と間違えられやすい刻印なので注意が必要です。

残りの90%にシルバーが使われていることが多く、言い換えれば10%のプラチナを含んでいるシルバーとも言えるでしょう。

そのため、他の品位より比較的お手頃な値段で売っているようです。

ただ、流通量は非常に少ないようです。

 

 

1960年頃まで使われていた「Pm」刻印

 

かつては Plutinum metal(プラチナムメタル)の略で「Pm」と表記されていました。

しかし、Promethium(プロメチウム)という金属の元素記号となったため、現在では「Pt」がプラチナの元素記号として使われています。

よって、製造された時期が異なるだけでどちらも同じプラチナ刻印で、中古ジュエリーを除き現在流通している製品には「Pt」刻印が打たれています。

他には大文字の「PM」表記や「p.m」などの刻印も存在しています。

 

 

数字表記のない「Pt」「Pm」とは?

現在「Pt900」でジュエリーを作ることが普通となっていますが、以前までは「Pt850」で作られることが一般的でした。

そのため、数字表記がなくても「Pt」「Pm」だけで「Pt850」と理解できることから、省略していた時期があったようです。

ただ1960年頃まで使われていた「Pm」製品の多くはプラチナの含有率が70%~85%程度で、中には50%ほどしか入っていない製品もあり、売却すると「Pt850」より安くなってしまうことがほとんどのようです。

 

 

漢字表記の「純白金」「正白金」の意味

「純白金」「正白金」ともに中国で使われている刻印です。

プラチナの漢字表記が「白金」なので、純白金はPt999(Pt1000)となります。

ただし、中には純度が高いものの99.9%に満たない製品もあるため注意が必要です。

一方の正白金は純度50%~60%のものがほとんどのようです。

なので、素材価値としては純白金の半分程度になります。

 

 

プラチナの「PLAT」刻印とは?

プラチナのリング

「PLAT」はアメリカ製のジュエリーに使われている刻印でPLATINUM(プラチナ)の略です。

純度は国際広報機関である「プラチナ・ギルド・インターナショナル」がプラチナジュエリーの国際基準が95%以上と定めています。

このことからPt950だと解釈できます。

なので、カルティエやティファニーなでどの海外高級ブランドがPt950を使用しているのも納得のいく話です。

ただし、ノーブランド製品の中には、たとえ「PLAT」刻印が打たれていたとしても純度95%を下回る製品も稀にあるようなので注意が必要です。

ちなみに日本の場合は、ISO国際標準機構や日本ジュエリー協会などでPt850以上がプラチナジュエリーとして認められています。

 

 

最後に

 

それぞれの製品形状によって使われる品位は異なり、その品位によって強度や輝きが違い、また日本と海外で打たれている刻印が異なっていることがわかりました。

今では婚約指輪や結婚指輪の素材として使われることが多くなり、プラチナがより身近な存在となっています。

そのためにも、より正確な知識を身につけていただき、納得のいくジュエリーを購入してみてください。